ピアノとバレー (白布 賢二郎) 3

隣 ページ43

結「ねえ奈々。」


奈「なにー？」


結「白布くんのことは諦めたんじゃないの？」


奈「・・・諦めようと思ったよ？叶うわけないし・・。」


結「うん。」


奈「でも、やっぱり出来ない。好きなまんまなの・・・」


結「なんで？そもそもまともに話したことなんてない相手じゃん。」


奈「そうなんだけどおおお・・・」


結「もう・・」



勇気も自信もない私が好きでいるだけ無駄だ。


そんなこと分かってる。


けど、目はいつだって彼を追っているし、


たとえあかりちゃんでも、彼と話している子がいれば図々しくも嫉妬する。


多分、付き合うことだって、夢に見てる。



奈「私、ほんとしょーもない・・・」


結「・・奈々。」


奈「ん？」


結「そんなに好きならさ、頑張ってみればいいんじゃない？」


奈「そんな・・・頑張ったって、振り向いてくれないよ、きっと。」


結「決めつけることでもないでしょ？」


奈「・・・・・。」



結衣の言葉は正論だ。ぐうの音もでない。



奈「もし私が頑張ったとして、」


結「うん。」


奈「上手く、いくと思う？」


結「その可能性は100％でもないし、０%でもないでしょ。わかんないよ。」


奈「だよね・・・」


結「奈々さ、去年の自分覚えてる？」


奈「え？」


結「奈々がいきなり白鳥沢に行きたい、なんて言い出して、元々そこまででもなかった偏差値を30もあげたでしょ。」


奈「あー・・そうだね。」


結「志望理由のほとんどももただ行きたい！みたいな感じなのにさ、毎日一生懸命勉強して、最後はちゃんと受かった。」


奈「・・ うん。」


結「つまり、奈々には頑張る力がある。」


奈「！、・・・・」


結「そしてそれは、恋にだって通用する力なんじゃないの？」


奈「・・・・・。」


浴「頑張ってみたらいいと思うけどなあ。」


奈「・・・結衣。」


結「ん？」


奈「・・ありがと。ちょっと考えてみる。」


結「そ。なら良かったかな。」


奈「・・・・・。」


結「あ、そういえば知ってる？」


奈「何？」


結「今日、席替えだって。」









佐「はーい、じゃ、全員このクジ引きにこーい。」







雑に4つ折りにされた紙を開いて、自分の席の番号を見る。




移動のための荷物をまとめつつも、目は白布くんを追いかけていた。


白布くん・・どこなんだろ。








もし、



もし、隣だったら。








奈「・・・・・え。」








好きな人が、隣の席だったならば。

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