第52話【頼み込み】 ページ4
「A」
「心操く……じゃなかった、人使くん」
終業式を終え、放課後になった。明日から冬休みなのでお昼には終わったが、A組一同は大急ぎで寮に帰った。荷物をして足りない物を買いに行くらしい。
「苗字で呼ぼうとしただろ」
「バレてましたか……」
「そりゃあね」
いつもお昼を食べている場所に彼に呼び出された。なんだろう、何か用事かな。
「明日からさ、合同合宿じゃん」
「だね」
「こいつらとも、しばらく会えなくなるって事か」
「あー……確かに」
人使くんの言う『こいつら』とは校舎裏に住み着いているネコ達のこと。お昼ご飯は私と人使くんがあげているが、朝と夜は相澤先生があげているんだとか。
しかし明日から冬休み。しかも合宿だし、ご飯を食べれず餓死にしてしまうだろう。
「こいつらなら大丈夫だよ」
「そうかな……」
「ネコは賢いから、他の所に行って食べ物貰ってくるよ」
「だと良いんだけど……」
……あ、そういえば悲鳴嶼さんってネコ好きだったよね。あと、蜜璃さんも。
(私の学校にもネコが住み着いてますよーって教えてあげよ)
「──ねえ」
一緒に石鎚の階段の隣に座っていた彼がいきなりダンッッと音を立てて私を押し倒す。
「今さ、他の人のこと考えてた？」
「……っ、え、」
「考えてた？って聞いてるんだけど」
藍色の瞳が私を捕らえて離そうとしない。洗脳(こせい)はかけられてないと思うが、目を逸らそうとしても逸らせない。
「俺と二人でいる時ぐらい……俺のこと意識してほしい」
「………え？」
「俺だって、ヤキモチぐらいは妬くから」
彼の言うことが分かった気がした。自分の一番の友達が、別の友達のこと考えてたり、嬉しそうに話してたらなんかムカつくよね。
「ごめん、私が悪かった」
「いや、俺も……やり過ぎた」
ヒーロー科と普通科という事もあり、一緒に過ごせる時間はほんの少ししかない。それに彼はヒーロー科編入希望者だ。
それに最近、相澤先生に稽古してもらってるせいでかなり一緒にいる時間が少ない。
「人使くん」
「……何」
明らかに拗ねている人使くんのほっぺたを両手で抓る。「……？」と何とも間抜けな表情をしており、思わず吹き出した。
「笑うなよ」
「だ、だって、ぶふっ……めっちゃヘンな顔してからっ……！？」
笑い転げていると無理やり起こされ、むぎゅうとほっぺたを抓ってきた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 766人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蛇口 - 更新どちゃくそうれしいですー！ぼくも玄弥オチ楽しみにしてます()これからも頑張ってくださいー、待ってますー (2021年4月17日 22時) (
レス) id: fc73c69302 (このIDを非表示/違反報告)
如月 - めちゃくちゃ面白かったです！！これからも頑張ってくださいーー!!!!応援してます！！！！ (2021年4月14日 0時) (レス) id: 5235c5d393 (このIDを非表示/違反報告)
むぅ - 更新ありがとうございます！！ (2021年1月25日 19時) (レス) id: 63e081f941 (このIDを非表示/違反報告)
渡辺綱推しです - 更新ありがとうございまあぁぁぁぁす！ずっと楽しみにしていました！ (2020年12月22日 18時) (レス) id: 2597573cb3 (このIDを非表示/違反報告)
蛇口 - わー！更新あざす！ずっと待ってましたー！嬉しいいいいいいいっ (2020年11月22日 11時) (レス) id: e2c2da130b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：音海 | 作成日時：2020年1月24日 21時
