第74話【優しい人たち】 ページ26
＊＊＊
「ん、じゃあ今日の訓練はここまでだァ！！」
──あの後、栗花落さんと竈門くん以外の四人は捕まったらしく頭に大きなタンコブ三つ乗せて、宇髄さんに宙ぶらりんに抱きかかえられたまま、戻ってきた。
「テメェらもこれ以上休んだらコイツらみたくなんぞ」とニッコリ笑顔で言われた。冗談抜きで死を感じた。ちなみに走ってる時の記憶はほとんどない。ただひたすら、がむしゃらに走っていた事がぼんやりと頭に浮かんでいる。
これはあくまで僕の憶測に過ぎないが、彼らは時間稼ぎをしてくれたのではないだろうか。宇髄さんから逃げる際にAさんが僕たちに口パクで『大丈夫だから』と言っていた……気がする。
(口の形的にもそう言ってるぽかったし……)
「おめェら、やりゃ出来んじゃねーか。まさか全員、百五十周クリアするたァ思ってなかったぜ」
そう、僕たちは何と百五十周という難題を何とかクリアできた。常にプラスウルトラと言うが今回はプルスウルトラが過ぎると思うのは僕だけだろうか。
自分で自画自賛するキャラでもないが、今回はかなり頑張ったと思う。おめでとう、よく頑張ったな出久。
「みんな、お疲れ様」
「よく頑張ったな！」
「ご飯用意してますよ〜！」
顔を上げるとそこには美人なお姉さんが三人立っていた。「粒揃いじゃねェか……！！」と案の定峰田くんが反応した。
「あの、皆さんは何者ですか……？」
尾白くんがおずおずと尋ねると三人は揃って口を開いた。
「天元様の嫁」
＊＊＊
「………えええええ！？！！！」
(めっちゃ驚いてる……)
まあ、驚くのも無理はないか。そして峰田くんや上鳴くんというバカ二人は「なんで嫁三人！？」と宇髄さんに疲れ果てた形相を一瞬で変えて質問していた。
「お嫁さんが、三人……！？」
「どこのハーレムかよ！？」
「いや、そもそも日本で一夫多妻制の法律はない。つまり必然的に籍は入れれないという事になるがしかし……」
宇髄さんは「ハァ………」と深いため息をつくとお嫁さん三人を引き寄せた。
「あのね、俺の家は代々嫁を三人持つっつー、しきたりなんだよ。三人全員、平等に愛でてるからな。あ、不倫じゃねェぞ。そこんとこ勘違いすんなよ、お前ら」
お嫁さん三人はうっとりして「天元様……」と呟いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 766人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蛇口 - 更新どちゃくそうれしいですー！ぼくも玄弥オチ楽しみにしてます()これからも頑張ってくださいー、待ってますー (2021年4月17日 22時) (
レス) id: fc73c69302 (このIDを非表示/違反報告)
如月 - めちゃくちゃ面白かったです！！これからも頑張ってくださいーー!!!!応援してます！！！！ (2021年4月14日 0時) (レス) id: 5235c5d393 (このIDを非表示/違反報告)
むぅ - 更新ありがとうございます！！ (2021年1月25日 19時) (レス) id: 63e081f941 (このIDを非表示/違反報告)
渡辺綱推しです - 更新ありがとうございまあぁぁぁぁす！ずっと楽しみにしていました！ (2020年12月22日 18時) (レス) id: 2597573cb3 (このIDを非表示/違反報告)
蛇口 - わー！更新あざす！ずっと待ってましたー！嬉しいいいいいいいっ (2020年11月22日 11時) (レス) id: e2c2da130b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：音海 | 作成日時：2020年1月24日 21時
