第27話【目覚め】 ページ28
──予想していたことが、やっぱり起きてしまった。産屋敷さんから連絡をもらい、急いで蝶屋敷に来た。
「……A」
呼んでも、彼女は返事をしない。頭、腕、足に白い包帯が巻いており、こっちが目を瞑りたくなるほどの怪我をしていた。
胡蝶さん曰く、「酷い熱を出したまま任務に向かっていたから、鬼を斬った後に倒れた」との事。
「良かったっ………」
包帯が巻かれた手をぎゅっと握りしめる。産屋敷さんから連絡をもらった時、頭が真っ白になった。
もうこのまま、笑って話すことはできなくなるんだと。そう思った。
「カー………」
セバスチャンは力無く鳴いている。頭を撫でるとAの枕元に近づいた。
──もう、何もかも辞めちまえよ。
全部解放されて、自由に生きてくれよ。
そうしてくれたら、俺はそれでいい。
俺は、お前が辛い目に遭うのが辛い。その哀しみや辛さを肩代わりしてやりたい。
中学の時みたいにさ、また一緒に猫カフェ行こうぜ？
中二の時までは一緒に行ってたけど、中三からは受験勉強が忙しくなって行ってねぇよな。雄英入ってからも、お互い違うクラスだし、そもそもお前はヒーロー科だし。
「俺と一緒に、いてくれよ」
そばで見守ってくれよ。俺がヒーローになるのを見届けるんだろ？
手を握ったまま、丸椅子に蹲る。
「……いる、よ」
か細い声で力無く呟かれた声。俺はバッと顔を上げた。
「しん、そ、くん。なん、で、ここに」
「A……！！」
起きた、目覚めてくれた。俺の大切でたまらない、大好きな人が。
「……心操くんはヒーローになるんでしょ？それまで私、そばにいるから」
「………」
「私が眠ってる時に心操くんが夢の中に出てきてさ、『俺と一緒に、いてくれよ』って泣きそうな顔で言ってるの。一緒にいるのに決まってるのにね？」
それは、夢なんかじゃない。俺の言葉が、彼女の夢の中まで届いてたんだ。
「というか心操くん、私のことAって呼んだでしょ」
「……ダメかよ」
「ううん。これから、そう呼んでよ。私も人使くんって呼ぶからさ」
小学一年の頃から幼なじみをやってきて、早八年。やっと名前で呼んでくれた。
好きな人に名前で呼ばれるのは、こんなにも心が暖かいのか。
「しのぶさんから、Aが起きたら訓練場に来てくれって」
「行こう」
「立てるか？」
「立てるよ」
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ぴーす。(プロフ) - すいません！鬼ごっこの話なんですけど、夢主ちゃんが鬼だったら、皆を追いかける側じゃないんですか？多分、話の内容的には夢主ちゃんが逃げで皆が鬼だと思います！ (5月25日 17時) (
レス) @page11 id: 93d57c8cdc (このIDを非表示/違反報告)
ここぴ - セバスチャンは笑いましたw 応援してます (2021年5月2日 21時) (レス) id: 9f9f73557c (このIDを非表示/違反報告)
ばなな味のあくえりあす - 珠世さんが鬼になって二百年ほどで愈史郎を作る、戦国の時代の縁壱が生きていたのが約三百年前なので約百年は違うんじゃないでしょうか? (2020年5月6日 21時) (レス) id: a72f134362 (このIDを非表示/違反報告)
チャケマン - あの46話の悲鳴嶼さんって手紙を読めるんでしょうか？ (2020年4月1日 19時) (レス) id: de774af347 (このIDを非表示/違反報告)
こーちゃ - ハーレムがヤバいです(語彙力がw) (2020年3月4日 17時) (レス) id: d7ebd024c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：音海 | 作成日時：2019年12月28日 15時
