第2話【心配症】 ページ3
「また任務遂行したのか」
「うん」
「……本当にこのまま、鬼殺隊で鬼を斬り続けるつもりなのか」
「あったり前じゃん」
同級生の中で、私が鬼殺隊に入っていることを唯一知っている心操くん。幼なじみっていうのもあるし、彼だけには言っておきたかったのだ。
「危険すぎる。この前だって、足骨折してたのに……」
「そんなのしょっちゅうだよ。むしろ怪我するなって方が無理だし」
「でも、」
「心操くん」
何か言いかけた彼をそっと抱きしめる。心配してくれるのはありがたいが、定期的にこうしないとダメなのだ。
「私は大丈夫だよ？鬼殺隊に友達だっているし、周りにも良くしてもらってるから………」
「だからって、Aが死んだら元も子もないだろ！？」
「……心操くん、なんで無個性の私が雄英高校に来たのか分かる？」
一旦離して、彼の両頬を私の手で包み込む。そんな彼は泣きそうな表情をしていた。
「心操くんが、ヒーローになるまでを見届けたいからよ」
「っ……！」
「まあ、でもそんな理由で雄英入った私も私だけど──………」
ヘラヘラと笑う私を、ぎゅっと抱きしめる心操くん。私の肩に、ポタッと一粒の液体が落ちた。
「……俺っ、絶対ヒーローになるから。見ててくれよな」
「………頑張ってね。私も、鬼殺隊で頑張るから」
「まぁ、ヒーローどうこうの前に俺普通科だけどな」
「でも、体育祭とかで認められたらヒーロー科の編入とかもありえるんでしょ？」
「体育祭終わっただろ」
「……確かに」
地面に置いてあったカバンを背負い、「教室まで送る」というなんともジェントルマン発言をした心操くん。
彼はエスコートが上手である。ドアだって開けてくれるし、飲食店なんか行った時も、必ず私をソファー側に座らせてくれる。
どっかの誰かさん達も見習うべきだと思う。
＊＊＊
「せっかくだし、予鈴鳴るまで教室で話さない？」
Aとは小学校からの付き合い──所謂、幼なじみというやつだ。そして彼女は鬼殺隊の隊士であり、全国でたった数百人しかいない『呼吸』の使い手である。
そんな彼女が俺のためなんかに雄英に来てくれた。正直言って死ぬほど嬉しい。こうして今も、教室で話そうと言ってくれている。
「いいけど」
「ありがとう！そういやさ、この前ね──」
俺と会話している時のAは、いつもうれしそうにする。後ろからの視線を感じつつ、視線を送るヤツらをとりあえず鼻で笑っておいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1005人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴーす。(プロフ) - すいません！鬼ごっこの話なんですけど、夢主ちゃんが鬼だったら、皆を追いかける側じゃないんですか？多分、話の内容的には夢主ちゃんが逃げで皆が鬼だと思います！ (5月25日 17時) (
レス) @page11 id: 93d57c8cdc (このIDを非表示/違反報告)
ここぴ - セバスチャンは笑いましたw 応援してます (2021年5月2日 21時) (レス) id: 9f9f73557c (このIDを非表示/違反報告)
ばなな味のあくえりあす - 珠世さんが鬼になって二百年ほどで愈史郎を作る、戦国の時代の縁壱が生きていたのが約三百年前なので約百年は違うんじゃないでしょうか? (2020年5月6日 21時) (レス) id: a72f134362 (このIDを非表示/違反報告)
チャケマン - あの46話の悲鳴嶼さんって手紙を読めるんでしょうか？ (2020年4月1日 19時) (レス) id: de774af347 (このIDを非表示/違反報告)
こーちゃ - ハーレムがヤバいです(語彙力がw) (2020年3月4日 17時) (レス) id: d7ebd024c5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：音海 | 作成日時：2019年12月28日 15時
