第10話【まだですか？】 ページ11
＊＊＊
鬼ごっこ開始からもうすぐ二時間が経とうとしている。未だに僕らは、Aさんを捕まえることが出来ない。
「っ、はぁっ、はぁっ、………」
「麗日さん！大丈夫？」
「だ、だいじょーぶ……」
両手を膝に当てて息切れをする麗日さんはもうスタミナ切れなのだろうか。ぜぇーぜぇー言いながら「デクくんこそ、大丈夫？」と尋ねてきた。
「Aちゃんめっちゃくちゃ速い……」
「Aさん……ほんとに個性使ってないよね？」
「そうやろ。だって、個性使ってたとしても相澤先生にバレるし」
捕まえようとしても、まずAさん自体に追いつけない。さっき青山くん、葉隠さん、常闇くん、芦戸さんの四人は一斉に飛びかかったが見事に躱されてしまった(芦戸さんの足の間からすり抜けられた)。
「っ……こっのクソ女ァァァ！！！」
「いい加減に、しろっ、A！！」
轟くんとかっちゃんはまだAさんを追いかけている。先程まで上鳴くん、切島くん、瀬呂くんも追いかけていたが「もう……無理」と言って降参してしまった。今現在、地面に倒れている。
当の本人、Aさんは涼しい顔で逃げ続けている。個性が使えないことに苛立ちを覚えているかっちゃんは鬼の形相でAさんを追いかけ続ける。
「っ！」
「クッ、ソが………」
とうとうクラスのツートップが地面に倒れ込んだ。体力がプッツリと切れたのか、僕達はすぐさま二人の元へ駆け寄る。
「バクゴー、大丈夫かよ！」
「……なんだ、あの女」
遠い場所でグーンと背伸びをしているAさん。僕らをジッと見つめて「もう終わりなの？」と言わんばかりだ。
「がむしゃらに追いかけても無駄だ。何か作戦を練らねば……」
「飯田さんの言う通りですわ。早速考えましょう！」
「……待って。相澤先生さ、Aさん捕まえたら授業終わりって言ってたよね？」
尾白くんが真っ青な顔で僕達に告げる。
「捕まえられなかったら……授業終わらないってこと？」
サーッと全員の顔が青くなっていく。途端、全員全速力で走り出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1005人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴーす。(プロフ) - すいません！鬼ごっこの話なんですけど、夢主ちゃんが鬼だったら、皆を追いかける側じゃないんですか？多分、話の内容的には夢主ちゃんが逃げで皆が鬼だと思います！ (5月25日 17時) (
レス) @page11 id: 93d57c8cdc (このIDを非表示/違反報告)
ここぴ - セバスチャンは笑いましたw 応援してます (2021年5月2日 21時) (レス) id: 9f9f73557c (このIDを非表示/違反報告)
ばなな味のあくえりあす - 珠世さんが鬼になって二百年ほどで愈史郎を作る、戦国の時代の縁壱が生きていたのが約三百年前なので約百年は違うんじゃないでしょうか? (2020年5月6日 21時) (レス) id: a72f134362 (このIDを非表示/違反報告)
チャケマン - あの46話の悲鳴嶼さんって手紙を読めるんでしょうか？ (2020年4月1日 19時) (レス) id: de774af347 (このIDを非表示/違反報告)
こーちゃ - ハーレムがヤバいです(語彙力がw) (2020年3月4日 17時) (レス) id: d7ebd024c5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：音海 | 作成日時：2019年12月28日 15時
