リナリアの意味【黒】 (ページ22)

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Ep.5-5 ページ22

Side.you

土曜日、美容院に行くため早起きをする。
悩んだ末に、決めた洋服を着ていつもより少し気合を入れたメイクをする。

『変じゃないかな？あーもう分からん！』

低めのヒールのサンダルを履き家を出る。
れながあんなこと言うので余計緊張してしまう。
あれからも目黒くんはちょいちょい思わせぶりなことを言ってくる。

期待しても良いんだろうか。
でも相手はたくさんの女の子を虜にしてきているアイドルですし。

時間通りにいつも通っている美容院に着き、リクエストを聞かれる。

店員「今日はどうします？」

『カットカラーはいつも通りでお願いします。あっ、あとヘアアレンジしてもらって良いですか？この後出かけるので…』

店員「了解しました！お出かけ良いですね〜」

いつものように楽しく会話をしながら、すごく可愛く髪も仕上げてもらった。
これで、隣歩いても少しは大丈夫なはず…。
時間を見ると、11時になろうとしていたので目黒くんに少し遅れちゃうと連絡をする。

目【了解。外にいるから終わったら声かけて。】

結局、10分ほど遅れてしまい急いで外に出る。
ベンチにマスクに帽子、今日はそれにメガネもかけている目黒くんを見つける。

『目黒くん』

声をかけるもイヤホンをしてスマホをいじってる目黒くんは気づかない。
スマホを取り出し彼に電話をかける。
目の前でもしもし。終わった？と顔をぱっとあげ、目の前の私にやっと気づく。

『遅れてごめんね』

直接聞こえる距離なのに電話越しに伝える。
ふっと笑って、電話を切る目黒くん。

「髪、可愛いね。」

『美容師さんが凄いから』

「モデルの素材が良いからじゃない？」

サラリと照れる言葉をいう目黒くん。
車あっちに停めたからと、手を引かれる。

『あの、手…これはお付き合いしてないとまずいのでは？』

「俺が繋ぎたいから、Aちゃんは握られてて笑」

マスクをしているけど、からかっているような笑い声がする。
こんなにペースを乱されるの知らない。

目的の場所に着くまで私はこのドキドキから解放されるんだろうか。
目黒くんの大きな背中を見てそう思った。