リナリアの意味【黒】 (ページ14)

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Ep.4-2 ページ14

Side.目黒

運転手さんに行き先を告げ、Aさんに【今タクシーに乗ったから、後15分くらい】と連絡をする。
乗っている時間がものすごく長く感じる。
早く会いたい気持ちが先走ってしまい渋滞でもないのに車が止まるたびイライラしてしまう。

店の手前で止めてもらい、スマホを見るけど既読になっていなくて少し心配になる。
誰かに声とかかけられてたら最悪だ。

料金を払い一旦深呼吸をしてから店のドアを開ける。
店員さんが1人名ですかと声をかけてくれるが、待ち合わせと軽く良いAさんを探す。

昨日座っていた2名がけのテーブルで男性店員と話している。
あいつ、昨日の距離めちゃくちゃ近かったやつだ。
苛立ちを隠し、2人に近づいていくとAさんは俺に気づく。

『お！お仕事お疲れ様！』

手をヒラヒラと振って、こっちこっちと手招きされたので
ネームプレートに清水と書いてある彼にペコっと頭を下げAさんの向かいの椅子に座る。
清水さんは笑顔でじゃ、楽しんでとカウンターに戻って行った。

「遅れてごめんね？」

『私こそごめん、今スマホ気づいた…』

申し訳なさそうにAさんはメニューを渡してくれる。
生ビールにしようかなと言うと分かったと言い財布を持ちレジに行こうとする。

「待って、俺が出すから。」

咄嗟に掴んだため手を握る形になってしまった。
Aさんは少し驚いた表情をしていて、その顔がまたたまらなく可愛い。

「遅れたし、ね？」

『う、うん。ありがとう！』

すぐ笑顔に戻ったAさんに待っててと言い、カウンターに向かう。
注文を済ませ、ドリンクが出てくる場所で待っていると清水さんがカウンターに入ってきた。

清「Aちゃんのお友達ですか？」

「まぁ…そんなとこっす。」

清「そうなんだね。男の人の友達と来るなんて珍しいから」

「珍しいんすか？」

清「そうだね、Aちゃん2人きりで男の人と出かけない精神らしくて」

そう言いながらグラスに俺のであろう生ビールを注いでいく。
なんだよそれ、可能性あるってこと？
嫌でも期待してしまう。

2人分のドリンクを受け取りせ彼女が座る席に戻る。
土曜日ということもあって人が多い。

『ありがとう！混んでるのにごめんね』

清水さんのさっきの言葉が頭の中でぐるぐるする。