PARACAGE 7th【ars】 (ページ13)

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223.シャンプー。ページ13

「このシャンプー、いい匂いだよね」

私が言うと、ニノくんは「うん」と言って離れた。

「なかなかオトコをそそる匂いだと思うよ」
「そんな匂いあるの？」
「あるある！何て言うのかな、男性ホルモンをやたら刺激して来るような匂い」
「あ、でも分かるかも。あるよね、そーゆー匂い」

私もどちらかと言えば匂いフェチだ。
ドキドキする香りって、ある気がする。

「Aが普段つけてる香水も、オレ結構好きなんだけどさ」
「あれ、いい匂いだよね」
「相葉さんも同じ匂いになってて、気分悪いなーと思ってた」
「あー...」
「匂いでまでイチャつくんじゃないよ！」
「別にイチャついてないでしょ！」

ドーンとニノくんを押すと、簡単にコロンとソファに転がった。

「夜這いでもかけてみたら？」

転がってるニノくんが、視線だけをこっちに向けて言った。

「夜這いって...本気で言ってる？」
「冗談半分、本気半分」
「面白がってるでしょ」
「フザケ半分、真面目半分」

パシッと細い太ももを叩いてやると、「いったーい！」って大袈裟な声。
そんなに痛いはずが無い。

ニノくんはそのまんま、目を閉じた。
ここで寝るつもりなのかな。眠たかったのかしら。

私ももう部屋に戻るか...

そう思って立ち上がろうとした時。

「オンナノコのシャンプー変わると、ドキドキすんの」

独り言なのかな？って思う位の声を零した。
目を閉じたまま。

「え？」
「経験談」
「.....」
「たったそれだけのコトで、すっげぇドキドキすんの」
「.....」

薄く開いた目は、トロンとしてる。

「だから、夜這いには絶好のチャンスだなーと思っただけ」
「……アドバイス、ありがとう」
「心の無い感謝の言葉を、ありがとう」
「フフッ、寝るなら部屋に戻った方が良いよ。おやすみ」
「おやすみ」

私はニノくんを残して、リビングを出た。

夜這いって...何言ってんだか。
そもそも、そーゆー事を禁止してるんじゃなかったのか？って。

階段を昇り、2階の廊下を歩く。
智くんの部屋からは、微かに音楽が聴こえる。
翔さんの部屋は静か。

雅紀くんの部屋の前で立ち止まり、鶯色のドアを見る。

中からは何も聞こえない。
もう寝ちゃったのかな…。

ニノくんの台詞が蘇って、自分の髪を匂ってみる。

「.....」

もう1度ドアを見て、私はそのまま自分の部屋に向かった。

潤くんの部屋からは、映画を観てるらしく人の声が小さく聴こえて来た。