PARACAGE 7th【ars】 (ページ2)

今日:12 hit、昨日:13 hit、合計:1,010,276 hit

212.敏感鈍感。ページ2

「あ、だけど智くんは翔さんが敏感だって言ってましたよ？」

私が言うと、翔さんはちょっと考える様子を見せてから「僕が気付くのは気持ちじゃ無くて、視線だと思います」と答えた。

「視線？」
「そう。誰が誰を見てる、とか。そういう視線には結構気付く方なんだと思います。そこにどんな想いがあるのかは、智くんのようには分からないんですけど」
「...あの、いつから私の...えっとー...」
「雅紀を見てる視線に気付いたか？」
「あ、それです。それ」

恥ずかしくて、ウウンっと咳払い。

「何だか申し訳無いんだけど、かなり前だと思います」
「うっ...」
「アハッ、ごめんなさい！でもだってAさん、ずっと雅紀を目で追ってるからー」
「そんなに私、分かりやすかったんですかー...」

ガックリ...。
必死で隠してたつもりだったのに、全然隠れてなかったとか更に恥ずかしくなって意味も無く「ニゴー」ってニゴを呼んでみる。
来ない。ってゆーかリビングに居ない。どこ行った。

「そんな分かりやすいって訳じゃなくって、雅紀を見てるなーって気付いちゃったからその想いにも気付いちゃっただけで」
「...本当ですか？」
「うん。だから、僕と智くん以外は気付いてないんじゃないかな？と思ってたんですけど」

確かに、ニノくんには咲くんの写真が見付かったからバレた。
潤くんも今朝の感じだと、気付いてたって感じでは無かった。
雅紀くんは...まぁ、また別か。

「ねぇ、翔さん」
「ん？」

今度はズリ串を食べてる翔さんが、視線をこっちに向けた。

「翔さんはどうして、自分に向けられてる視線には気付かないんですか？」
「え？自分に？」
「たくさんの女性が翔さんに熱い視線を向けてるはずなのに。ニノくんも言ってましたよ？」
「ニノが？また変なこと言ってたんでしょ。熱い視線なんて、僕は向けられた事無いですよ」
「またまたぁ」
「何となく視線を感じてそっちを見ても、何故かすぐに目を逸らされるんですよ。だから嫌われてるのかなー？とは、よく思ってました」

謙遜してる感じじゃない。
この人、本当に天然物の鈍感なんだ...罪！

「目を逸らすのは、好きな人と目が合って恥ずかしいからですよ！」
「そうなんですか？残念です。ずっと見ててくれたら、僕も想いに気付けたはずなのに」
「これまで翔さんに恋してた女性達に、タイムスリップしてそれを全力で伝えてあげたい...」

翔さんがまた、朗らかに笑った。