PARACAGE 5th【ars】 (ページ24)

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164.最後の夜。ページ24

結局、雅紀くん達は海じゃなくて山へ行き川遊びをしたらしい。
ちょっと焼けてしまった雅紀くんが「ヤバイ...事務所から怒られる...」って頭を抱えてた。

ニノくんのスーツ作りは休みが終わる前に終わって、出来上がりを見せてくれた。
グレー地に濃紺のタータンチェック。
着る人を選びそうだけど、ニノくんにはよく似合いそう。

「凄い可愛いね！」
「そ？じゃあ褒めてくれたAには、これあげる」

彼がそう言って私にくれたのは、そのスーツと同じ生地で出来てるスカート。

「え...良いの？」
「うん。生地余ったのよ。でもオレとお揃いだからオレがスーツ着る時には、絶対Aは着んなよ？」
「大丈夫！被らないようにする！」

膝下丈のフレアーで、カジュアルなのに上品。
白いTシャツとかとスニーカー合わせたら、間違い無く可愛い！
嬉しくて思わずスカートを胸にギューっと抱き締めるとニノくんが何故か溜息をついた。

「...え？」
「いや、お前は可愛いね」
「はっ！？どうした！？熱でもあるの！？」
「ねぇわ。Aだって、さっきスーツ可愛いって言ったじゃん」
「や...うん、それは言ったけど...」
「それと同じでしょ。何をそんなに焦る必要がある」

まぁ...そう言われてみればそうなんだけど...。

「『可愛い』イコール『好き』では無いからな？」

ニノくんに、なるほど納得なお言葉を頂いたお盆休み最後の夕方。

夜には潤くんが帰って来る。
翔さんも久々にこっちに帰って来た。

ピザでも取ろうかって話になって、ピザ屋さんに電話をした直後に雅紀くんが帰って来て
ピザが届いたと同時に、潤くんが帰って来た。

「ハイサーイ！」なんてご陽気な潤くんが「者ども、土産だー！」とテーブルに個包装のちんすこうをばら撒いた。
それをみんなが「ありがてぇありがてぇ」と拾う。バカンス帰りの潤くんに負けないご陽気な住民達。

「アハハッ！本当の土産はこっち！」

そう言った潤くんが出したのは、美味しそうなマンゴーとパイナップル。
きっと私が一番大声を出して喜んだ。

みんなでピザを食べた後に、南国フルーツを食べて。
沖縄で撮った写真を見せて貰って。
いつかみんなで沖縄行きたいねーって、話して。

たくさん喋って、たくさん笑った。

クーラーが効きすぎてる、寒い程のリビングで

たくさん喋って、たくさん笑った。

きっと最後の夜。
私達6人がバランスを上手く保ててた、これが最後の夜。

最後の、夜。