PARACAGE 5th【ars】 (ページ1)

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141.WIN-WIN。ページ1

ウットリ...はさすがに出来ないから、必死で顔に出さないようにして無表情になってたら

「それさ、Aにとっては若干紳士的発言に聞こえるかもしんないけど、他の女子に対してはクズだよね」

ニノくんが雅紀くんを横目でチラ見しながら言った。

「だって、他の子は傷付けても何とも思わないって事でしょ？」
「傷付いてないもん」
「何でそんなの分かんの？」
「あの子達は『咲』とえっちがしたいだけ」

雅紀くんから出て来た直接的な言葉に無表情を保つのが難しくなって来る。

「俺も、その時の欲をどうにかしたいだけ。だから『咲』を存分に使っちゃうの、釣れるから」
「マジかよ、本気でクズじゃん」
「だけど結局それってウィンウィンでしょ？どっちも別に嫌な気分にはなってないし、むしろ楽しかったねーってバイバイするんだから」
「スポーツ的考え？」
「あー、そうかも。一緒に気持ち良く汗流そうよ！って感じ」
「アハー！マジでクズ！」

ケラケラ笑いながらニノくんが、私の肩に手を乗せた。
この手にどんな意味があるのかは分からないし、何の意味も無いのかもしれない。

「でもさ。雅紀の状態でそれヤっちゃ俺、終わりだなって思った」

ニノくんを見て話してた雅紀くんが、私を見た。

「まぁ、最低でクズなのには変わりないけどね」

優しげな目元をキュっと下げて、彼が笑う。
最低になんか、全然見えない目をして笑う。

「スケコマシだな」
「クズよりは、やじゃない」
「スケコマサキ」
「アハッ！何それ、それはちょっとやだー」

ニノくんと楽しそうに話してた雅紀くんは「シャワー行って来る」って、席を立ってダイニングから出て行こうとした。

「おい、リュック忘れてる」
「後で片付けるよ」
「そう言っていつも片付けねぇだ...って、おい待て！」

まだニノくんは喋ってるのに「じゃあねー」って出て行ってしまう雅紀くん。

「アイツ、風呂上がったら絶対そのまま部屋行くよな」
「だろうね」
「Aがリュック運んでやれよ？」
「優しいニノくんが運んであげたら良いと思う」
「オレ優しいけど、今ちょっと腕を負傷中で...」

あいたたた...なんてわざとらしく腕を押さえてる。
その腕をパンっと叩くと「折れたー！」とか言ってるから、もう一度叩いてやる。

「良かったねぇ、A」

私が叩いた腕をさすりながら、ニノくんは笑った。

「...何が」

衝撃的発言ばっかり聞かされて、何が「良かったね」なのかさっぱり分からない。