【名探偵コナン】わたしの光【安室透】 (ページ28)

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２７話ページ28

「ん、美味しい」

パクッと食べると人気メニューなだけあって他のハムサンドよりも別格だ。

ココアを飲みホッと一息をつく。
すると注文を一通り終えたらしく安室さんが戻ってきた。

「そういえばAさん」

「はい？」

冷蔵庫の中から何かを取り出すと私の前に差し出した。
そこには美味しそうなケーキが。

「これはまだ試作品なんですけど、良かったら食べませんか？」

「えっ…いいんですか？」

試作品ということは当然のことながら食べた感想も伝えなければならない。
それが今後反映されると思うと私でいいのかと思う。

「はい、勿論」

「でも私、上手く伝えられないですよ…？」

そう恐る恐る伝える。
その言葉には主語もなく、少し戸惑っていることがバレてしまいそうだ。

「そんなことないですよ。充分伝わってます」

ニコッといつも通りの笑みを浮かべた安室さんの言葉に違和感を覚えた。

＂伝わっている＂とはどういうことだろうか。

「さぁ、どうぞ食べてください」

疑問を口に出そうとした最中。
勧められたため聞くことを諦め有難く食べることにした。

「んー！美味しい！」

久しぶりに食べたその甘さについつい頬が緩む。
とても美味しい。

「良かったです」

嬉しそうに笑うと、何故かそのまま裏に行こうとする安室さん。

「え、感想聞かないんですか？」

思わずそう言うと不思議そうに振り返った。

「感想なら教えてもらいましたよ？」

本当に不思議そうな顔をするから、つい言ってたんじゃないかと錯覚するが私は何も伝えていない。

その思いが伝わったのか彼は＂あぁ、なるほど＂と呟くと私の顔に手を添えた。

「え…！？」

突然のことに分かりやすく動揺してしまう。

頬に感じる彼の手はとても優しかった。

「表情で分かるんですよ、Aさん表情豊かなので」

クスクスと笑いながら見つめられる。
どうやら今の動揺も伝わってしまったようだ。

「此処を気に入ってくれたようで良かったです」

彼は手を離すとそのまま裏へ消えていった。

「ポーカーフェイスどこいったの…」

さっきまで彼が触れていた頬を自分の手で押さえる。
手にはじんわりと暖かさが伝わってきた。

そして周りの目が気にならないくらい私の脳内は別のことが支配した。