Prince of Vampire 10

504 ページ43

「…海斗、なんか最近また雰囲気変わったね、」








前よりも、ギラギラしてる。




吸血鬼として、何かを極めようとしているというか、
とある期限に向けて自分を最大に磨いて、その状態で"次のステージ"に行こうとしているというか。









「Aはずっと変わらないよ。


なんなら永遠に若いままでいさせて欲しいっつったら出来るけどね」






「…」








「でもそんなことしたら顕嵐に殺されるからな」








「殺しはしないでしょ、」








「いやいや。


あいつの世界で一番大事な人を吸血鬼にでもしたら、いくらなんでも、ただじゃ済まない。


多分俺らが本気で喧嘩したら、お互い半身不随かそれ以上だよ。


吸血鬼は気配とか匂いにも敏感だから、逃げ切るのも相当苦労するし」







「じゃあ大丈夫だよ、しなくて」






「……いや、別に構わないよ。


お前の頼みなら。


ただ、人を転生させたら俺はその瞬間からもう全ての変化が止まるから、タダじゃ割に合わないけど」






「…海斗に今更、ただの母親の私が返せるものってある？」






それはただの興味で、本気の願望ではない。








「あるよ。お前からキスしてくれたらそれでいい」






「な、またそんな…」




正直、そんなちっぽけな物。

くだらない冗談でしかない。




「…私結婚してるんだよ」






「はは(笑)」






学生の頃に戻ったみたいに、やはり冗談っぽく笑う海斗だけど、


何となく、今日はほんの少し、その全てを冗談だと切り捨てることが出来なかった。


それくらい、人間離れした、研ぎ澄まされたオーラを、海斗が纏っていたから。

505→←503

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す