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ようやく、顕嵐と二人きりになった。




「……ここ来るの2回目だよね、相変わらず堅苦しい環境でしょ?」




私を安心させる為か、顕嵐は明るいトーンで語りかけ、私と隣り合うように二人掛けソファーに腰掛けた。





「こないだは俺が呼んだけど、今日はAから来てくれた。

…何か用だった?」




優しく、顔を覗き込まれる。





「えっと、」





…言えない。

ただ、会いたくなっただなんて。



だからせめてと持って来た紙袋を手渡す。




「これ…」




「?」



顕嵐は今日が何の日か気付いてない様子。


何か忘れ物したっけ?と不思議そうにしている。






「バレンタインだから、作ったの、顕嵐に」




「ああ….ありがとう」





ちょっとぎこちない様子の顕嵐。




…嬉しくないのかな?








「ごめんね、こんなことで会社に来て」




「ううん、わざわざありがとう。嬉しいよ」





その後、ガサゴソと紙袋を開け、


作ったんだ?と更に顔を覗き込まれる。






「…うん、」




近くで、見つめられるだけでドキドキしてるなんて、やっぱり私は顕嵐に心底惚れている。






結婚して、パパとママになったのに…。


顕嵐を前にすると、私はただの女の子だ。








「ホワイトデー、お礼に何欲しいか考えておいてね」






その紳士的な微笑みを向けられた瞬間、


もっともっと、違うものが欲しいと、顕嵐に対する欲が込み上げた。








「…ホワイトデー、なんだけど、」








「…うん?」









興味深そうに目をパチクリとさせた顕嵐に、勇気を出して告げる。






「……ホワイトデーには、


顕嵐が欲しい…です…」






緊張のあまり、語尾は敬語。








「え……」






顕嵐は固まってしまった。








でもあと1ヶ月、


1ヶ月あれば今より痩せられる。


頑張るから、だから、せめてそれまで、他の女の人に見向きもせず、私のものでいて欲しい。









「……お願い、まだあと1ヶ月あるけど」






「……」






顕嵐は驚いて口を開けたまま、瞬き一つしない。








その時だった。






コン、コン、






廊下からドアをノックされる音。




「…」




「はーい、」




黙ってしまった顕嵐の代わりに返事をする。









すると、




「常務、始まりますよ?」






秘書の山中さんによる呼び出しが聞こえた。

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りりちゅん(プロフ) - いつも更新楽しみにしています!完結してしまうのはとても寂しいですが応援しています! (2017年5月25日 1時) (レス) id: c321fe6a1f (このIDを非表示/違反報告)
踊れる人大好き芸人(プロフ) - nnm2000さん» 応援ありがとうございます!頑張ります! (2017年5月17日 21時) (レス) id: 698c405fce (このIDを非表示/違反報告)
nnm2000(プロフ) - くすぐったくてキュンキュンします…頑張ってください!! (2017年5月16日 19時) (レス) id: 432ef5cf0a (このIDを非表示/違反報告)
踊れる人大好き芸人(プロフ) - ゆうなさん» コメントありがとうございます。褒め言葉として受け取って、邁進します!(笑)本当は書いてる方も恥ずかしいのですが、徐々に慣れました…。 (2017年5月15日 14時) (レス) id: 698c405fce (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - 読んでるこっちが恥ずかしくなる!頑張って下さい!!! (2017年5月15日 11時) (レス) id: 9b29f9a6ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:踊れる人大好き芸人 | 作成日時:2017年5月5日 20時

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