Prince of Vampire 10

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「"斗"って感じは、２つ意味があるんだ。知ってた？」






「…知りません」






「１つは、"たたかう"って意味。だからあんまり女の子にはつけられない漢字なんだよ」








「…そうなんだ」






さすが詳しい。
如恵留くんの知識量はハンパない。






「だけどそれでも、顕嵐たちが産まれた女の子に対して使ったってのは、


きっと、その字がちゃかちゃんの名前の漢字だからじゃない？」






「…」






如恵留くんの言葉を噛み締めようとすればするほど、変な気分になるのが分かった。


本当かどうか分からないし、本当だとしても実感湧かないし。








「元々、ちゃかちゃんも含めて3人で親友だったんでしょ？友だちに対しての粋な計らいだよね」




「…そうだったら、ですけど」




「違うかも知れないけど、そうだと思ったら、楽しくない？」






如恵留くんは、頭が良いだけじゃなくて、凄く考え方が前向きだ。


前向きっていうか、上向き。




一見"変わってる"って思われやすい性格だけど、如恵留くんに乗っかることが出来たら世界観が凄く明るくなるだろうなって、人を幸せにする愛情と精神力が尋常じゃない。






「２つ意味があるって言ったじゃん？」






「うん」








「もう１つは、"ひしゃく"とか"升"。


何かを入れておく器みたいな意味なの」






「へぇ、」






「だから、この子は


顕嵐とAの溢れるくらいの愛を、まるでちゃかちゃんみたいに、貯めておいてくれる、




そういう存在なんだ」






「……」






「あくまで、俺の解釈だけどね」






はぐらかすように笑って、そう付け加えた如恵留くんに、


俺のかつての気持ちは打ち明けたことはあるものの、


俺らが吸血鬼で、永遠の命が、とかは、全く教えていない。




それなのに、どこか、俺の心に眠る将来への"葛藤"を、


ごっそりと、如恵留くんが溶かしてくれたような、そんな心地がした。








「だからちゃかちゃんは斗愛の父親ってより分身かな？」






「ありがとう…。如恵留くん、お礼にチョコあげる」






「チョコ？(笑)バレンタインだから？」






「そう」






「わざわざ買ってくれたの？俺のために」






「Aからだけど…」






「あ、そうなんだ、ありがとう(笑)」

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