オタク談義盛り上がりがち ページ29
結論から言うとゼノとの論議はバカくそ楽しかった。
頭のいい人とする会話はいい。脳みそがガンガン活性化するのがよくわかる。言葉を交わす度ぱちぱちニューロンが弾けていい刺激になった。
そんでもって私の脳みそがゼノに匹敵するそれであることも理解した。いよいよ万能チートだ。
そこで私は科学方面に見識を広げることを辞め、医学方面にガチ昇華させることを決意した。
私まで科学チートになってしまうと、もう私だけで生きていけるようになってしまう。科学チートは二人も要らない。文系寄り医学チートを目指していこうと思う。
あと途中で「友人に自慢したい」とか訳の分からんことを言って私とのツーショを撮り始めたのは一体なんだったのか。
なんの自慢?天才美少女とのツーショは確かに私でも欲しいけど。
「デブリの再活用は──」
「しかし宇宙空間においては加工が──」
「桐〜、そろそろリリーに会いに行くわよ〜」
そう母に呼びかけられるまで、私とゼノは論議を止めることは無かった。何度珈琲を淹れ直したか記憶に定かではない。
私はわりと渋々立ち上がり、ゼノに礼を言った。
「Vielen Dank. サー・ウイングフィールド」
「おお、ドイツ語か。トリリンガルなんだね」
あっ普通に間違えた。私は口元を抑える。うっかり。
たまにあるのだ。ありがとうとThank youとDankeを取り違える。私だけだろうか。私が言い直そうとする前に、ゼノが口を開いた。
「Bitte. Bis nächstes Mal.」
「ぉわ」
「少しならわかるよ。君のような優秀な若者は大好きだ。また会えるかな」
口説かれてるんか?私はぱちぱち瞬きをした。混乱の中とりあえずスマホを取り出すと、意図を組んでくれたのかゼノもまたスマホを取り出した。アドレス交換した。
やべえ、私の連絡先がとんでもねえ豪華さになってきてる。歌姫と宇宙飛行士とNASAの研究者……財閥御曹司もだ。もう私絶対スマホ落としたり出来ないな。
「Gerne. サー。また連絡します」
「実にエレガントだ、ポウロウニア」
ゼノは私の答えに満足気に笑って、ひらりと手を振った。ポウロウニア、などと洒落た呼び名まで。……桐の学名なんか、よく知ってたな。まあ、彼なら知っててもおかしくは無いのか。
連絡しますとは言ったが、私から連絡することは多分ないだろう。流石にそんな勇気はない。受け身でありたいお年頃である。
私はドアの前で待つ母に駆け寄り、ゼノにひとつ会釈して研究室をあとにした。
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ももこ - めっちゃおもしろかったです!文才過ぎてガチ小説読んでるみたいでした! (11月9日 18時) (レス) @page20 id: 1bc8f0fbc1 (このIDを非表示/違反報告)
癒し系猫(プロフ) - 名前変換は出来ないのでしょうか? (5月29日 21時) (レス) @page1 id: 0e8640f8c4 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - あやめさん» オワワ〜〜〜〜ありがとうございます〜〜〜〜!!!! (2020年12月12日 20時) (レス) id: 2cc2b8ed9f (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです!!これからどうなるのか楽しみです!!!更新楽しみに待ってます!!! (2020年12月12日 16時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
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