震えるオタク ページ28
「君は母親似だな。物静かで賢そうだ」
「よく言われます」
「おいで」
ﾋｴｰｰｰｯｯｯ。ゼノの手招きに逆らえるわけもなく大人しくそちらに歩み寄れば、ゼノは満足気に片眉を上げた。え、絵になる〜〜〜！！！顔がいい〜〜〜〜！！！
他の推したちと違ってそもそもが大人だから、最初から完成した顔面が私の前にある。
心臓に悪くて仕方ない。え？これ私推したちが成長しきった時ヤバいんじゃないの？羽京兄ちゃんとかそろそろ二十歳くらいになるはずだけど、私次の親戚の集まりとかで死ぬんじゃないの？防衛大学校行っちゃったから殆ど会えなくなってるけど羽京兄ちゃん。
てか「おいで」？「おいで」っつったのこの人。ヤバくない？何その破壊力。私がゼノの夢女なら即死キメてたよ。
「MITの卒論を五歳で理解したそうだね」
ゼノはPCを何かカチカチやりながらそう言った。多分父が言ったんだろうなと思った。親バカだから子の自慢をしたいのだ。
別にそれを自慢と私は思っていない。人より優れてはいるんだろうが、それは私にしかできないことではない。私は「はあ、まあ」というような曖昧な返事をした。
「精々理解ができただけです」
私がその論文を考えたわけじゃないし、自らそれを読もうと思って引っ張り出してきたわけでもない。
たまたま机の上に広がっていたそれを、たまたま判読出来ただけ。私が自ら得た知識などというものは、精々が家の書庫にあった書籍のものと、偏りまくった興味からのものだ。
「随分な謙遜だね、レディ」
「ふふ、お上手ですね。でも、私はレディと言うには些か幼過ぎるのではないですか？」
「そうかな、君は随分……そこらの大学生なんかより、よっぽど大人に見えるよ」
鋭ぇ〜。私は笑顔が引き攣らないように細心の注意を払った。
ゼノに前世の記憶、ないしこの世界の未来についてバレてみろ。私は即北米捕虜コースだ。嫌すぎる。私は原作開始を日本で迎えたいのだ。
私という人間の利用価値を千空は痛いほど知っているから、即時蘇生で即戦力にしてくれるだろう。
未来予測のためのお人形さんよりは格闘万能ゴリラの方がいい。いやなんかどっちもどっちだな字面が。
「桐、少し話そう。珈琲は飲めるかな？」
「是非。ミルクとお砂糖頂けますか？」
これは質問どころじゃないな。ぼろを出さないように必死こくほうが最優先だ。私は決意を新たにしつつ、勧められるままゼノの隣に座り、暖かい珈琲を受け取るのだった。
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ももこ - めっちゃおもしろかったです！文才過ぎてガチ小説読んでるみたいでした！ (11月9日 18時) (
レス) @page20 id: 1bc8f0fbc1 (このIDを非表示/違反報告)
癒し系猫(プロフ) - 名前変換は出来ないのでしょうか? (5月29日 21時) (レス) @page1 id: 0e8640f8c4 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - あやめさん» ｵﾜﾜ〜〜〜〜ありがとうございます〜〜〜〜！！！！ (2020年12月12日 20時) (レス) id: 2cc2b8ed9f (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！！これからどうなるのか楽しみです！！！更新楽しみに待ってます！！！ (2020年12月12日 16時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
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