オタク、アメリカに降り立つ ページ23
あっという間(直行便で半日)にアメリカである。
私を降ろした龍水は頬をひと撫でして「俺は一緒には行けん。だが、貴様が呼べば何時でも駆けつけるぜ」などと行って、また飛行機にとんぼ返りしていった。やっぱり学校があったらしい。
私は空港から龍水のプライベートジェットを見送り、ようやっと一息つく。アメリカの匂いがする。久し振りだ。
ざっくり……何年ぶりだろう。五歳の時以来だから、一応七、八年ぶりになるのか。うわあ、時の流れ早〜。
などと感傷に浸っていれば、「桐！」と私を呼ぶ声がした。振り返ると母だった。美しいブロンドを肩で切り揃え、長いまつ毛で緑色の瞳を縁取る、身内の贔屓目なしでも抜群の美女だ。
母は私に軽くハグをすると、実にスマートな所作で私のスーツケースを奪っていった。所作が完全に紳士だ。タカラジェンヌ男役ばりの風格がある。
「ダディは先にNASAに行ったわ。リリーもNASA」
「お母さんが迎えに来てくれたの？」
「ええ、可愛い娘のためですもの！」
そう言ってウインクする母。三十路後半には全く見えない。
というか、リリアンもNASAにいるのか。ということはそろそろソユーズ搭乗の準備期間に入るってことなんだろうか。
「桐は宇宙が好きだものね、きっとNASAにも興味があると思ったの。ダディの友達に凄い研究者がいるから、その人とお話してみるといいわ」
さいで。
しかしNASAかあ、うーん、NASA！宇宙を目指すものが一度は憧れる、空と宇宙へのロマンの塊。千空じゃないがこれは唆る。推しの建前とはいえFSを目指すと嘯いた私だ、滾らないわけがない。
ロケットの内部構造……カメラ構造……通信機器の発展やデブリの回収問題、聞きたいことがありすぎてまとまらない。質問しすぎてキレられるかもしれない。
私はなんとなく、鞄の中からアストロラーベを取り出した。
これは小学生の時に作成して以来、気分で持ち歩いているものだ。頑張って作ったので愛着がある。お守りというか、そんなふうな気持ちでいる。ちなみに追求してなかったが銅製である。日の高さを見ながら、それをなんとなく回して、今の時間を計ってみる。……11時25分くらい。
「桐、ランチはもう食べた？」
「ううん、まだ」
「じゃあ、ランチしてから行きましょう。美味しいピザのお店があるのよ」
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ももこ - めっちゃおもしろかったです！文才過ぎてガチ小説読んでるみたいでした！ (11月9日 18時) (
レス) @page20 id: 1bc8f0fbc1 (このIDを非表示/違反報告)
癒し系猫(プロフ) - 名前変換は出来ないのでしょうか? (5月29日 21時) (レス) @page1 id: 0e8640f8c4 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - あやめさん» ｵﾜﾜ〜〜〜〜ありがとうございます〜〜〜〜！！！！ (2020年12月12日 20時) (レス) id: 2cc2b8ed9f (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！！これからどうなるのか楽しみです！！！更新楽しみに待ってます！！！ (2020年12月12日 16時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
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