オタク、自らの可能性に気付く ページ3
五歳になった。あまり気にしないでくれ。夢小説じゃよくあるパターンだ。おむつとか授乳とかロンパースとか、精神が二十歳の私にとっちゃただの羞恥プレイでしかないのだ。
緑の目の美女──母と、どうやら日本人であるらしい端正な顔立ちの父。その二人に愛情たっぷりに育てられ、完全に外見勝ち組ルートの私は、予想通り大変に可愛らしく育っている。
そんなこんなで五年経って気付いたことがある。まず頭である。いや、地頭は元々悪くはなかったのだが。
「マサチューセッツ工科大学論文……」
父(凄腕の医者らしい)のデスクの上にたまたま広げられていたそれを何気なく読んだ。英語だったが、そもそも家では日常的に英語･日本語･なぜだかドイツ語が飛び交っているので別にそこは気にしなかった。
子供の脳は柔らかいと言うし、多分世の中のバイリンガルやトリリンガルもそんな感じなんだろうと思ったのだ。
でもこれは、説明がつかない。MITの、医療用機械についての論文だ。こんなもの、五歳の女の子は勿論のこと、二十歳だった私でも理解が及ぶわけがない。私はガチ文系のガッデム数学女だったのだ。
……いや、転生モノってそうだよな。なんでか分からないけどとんでもない頭脳を持ってたり、すげえ身体能力だったり、超絶美人だったりするんだよな。
そんで私多分、そのテンプレを綺麗〜に全部、踏襲してるんだよな。
身体能力。家の近所の木々を飛び移って移動できる程度。
頭脳。MITの卒論をサラッと理解できる程度。高嶺清麿か私は。
顔。言うまでもねえ。
いやなんだこの人生イージーモードは。望んでないわ。せめて身体能力か頭脳どっちかだけにして欲しかったわ。私は項垂れた。
ここはアメリカだが、生活してる感じ、この世界は完全に普通の現代社会なのだ。ファンタジーとか異能力バトル系ではない。こなくそである。普通の世界でこんなハイスペックになっても。
とはいえ、あるものは使うべきだ。私は瞬時に立ち直り、父の書斎を漁り始めた。父は医者で、母も医者だ。医学書なら山ほどある。まずはこれらを読んでみて、理解できそうならもう少し難しい本を父母に頼もう。
あ、そうだ、武道とかも習いたいな。せっかくこんなに優れた身体能力を持っているんだし。それに容姿が良すぎて将来浮かないか心配だ。顔に傷でも作って口とかが歪めばいい感じになるかもしれない。
そうと決まれば即行動。私は父のデスクから降り、書庫へと走り出した。
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ももこ - めっちゃおもしろかったです！文才過ぎてガチ小説読んでるみたいでした！ (11月9日 18時) (
レス) @page20 id: 1bc8f0fbc1 (このIDを非表示/違反報告)
癒し系猫(プロフ) - 名前変換は出来ないのでしょうか? (5月29日 21時) (レス) @page1 id: 0e8640f8c4 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - あやめさん» ｵﾜﾜ〜〜〜〜ありがとうございます〜〜〜〜！！！！ (2020年12月12日 20時) (レス) id: 2cc2b8ed9f (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！！これからどうなるのか楽しみです！！！更新楽しみに待ってます！！！ (2020年12月12日 16時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
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