オタクはフッ軽が多い ページ17
「はいもしもし」
『桐！俺だ！フランスに寄る用事があるんだが一緒に来ないか、ルーヴルに行きたいと言っていただろう？』
「私君のそういうとこは宇宙一最高だと思うんだよな〜〜〜行く〜〜〜！！」
中一の春のことである。件名を見ずに電話に出たら相手は龍水で、なんでも商談のあれそれでフランスに出向くことになったらしい。
ついでにその商談相手主催のパーティにパートナーが必要とのことなので、一も二もなく私に電話をかけてきたとの事。ルーヴルとモンサンミッシェルが引き換えならばそれも別に悪くは無い。詳細も聞かずに二つ返事で了承したが、結果オーライと言ってもいいだろう。
龍水はたいそう喜んで「オートクチュールのドレスとパンプスを手配するぜ！」と言って電話を切ってしまった。また測りに行かせられるのか。まあタダだし貰えるものは貰うか。
無論龍水からの貢物も最初は断っていたのだが、年々イケメンになる龍水に声変わりしたばかりのええ声で「俺の気持ちだ。桐に似合うと思って選んだのだから、受け取って貰えないと困る」などと言われては駄目だった。即陥落した私は不承不承それを受け取ることにしたのである。
勿体ねえ、あと三年もすりゃ全部跡形もないのに。……あと三年かあ……近いなあ。
「桐ちゃん、誰と電話してたの？」
おっと、すっかり忘れていた。
私は声の主に向き直る。不思議な形のカチューシャをした、黒髪の綺麗な、可愛い女の子。──小川杠。
中一になって初めて千空達とクラスが離れてしまったのだが、しかし私のクラスには杠がいた。
丁度大樹との初対面の時のように、五十音順の席の並びで隣同士になったのだった。杠は稀に見る純粋で素直な良い子だった。正直若干心配だったがそれも杞憂に終わり、私は彼女とすぐに打ち解けた。
「ええと……説明が難しいなあ、昔馴染み？かな」
「へえ〜？……で？その人とはなんにもないんですか？」
「……なんにもとは？」
目逸らしそう答えれば、誤魔化さない誤魔化さない〜！と顔の向きを戻された。ぐえ。あ、杠かわいい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 87人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Dr.STONE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ももこ - めっちゃおもしろかったです！文才過ぎてガチ小説読んでるみたいでした！ (11月9日 18時) (
レス) @page20 id: 1bc8f0fbc1 (このIDを非表示/違反報告)
癒し系猫(プロフ) - 名前変換は出来ないのでしょうか? (5月29日 21時) (レス) @page1 id: 0e8640f8c4 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - あやめさん» ｵﾜﾜ〜〜〜〜ありがとうございます〜〜〜〜！！！！ (2020年12月12日 20時) (レス) id: 2cc2b8ed9f (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！！これからどうなるのか楽しみです！！！更新楽しみに待ってます！！！ (2020年12月12日 16時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
