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76話 ページ5

治に手を借り立ち上がった私は深呼吸して文言を紡ぐ。

「異能力、狂言の神。"葉桜と魔笛"!」

周囲に白い光が溢れる。
誰もがその白い輝きに魅入っていた。
神聖かつ清浄な純白の輝きは、力強くどこか優しい雰囲気だ。
身体は白く光を放ち、白衣に緋袴、そして千早を羽織った装束となっていた。
誰もがAに魅入って動けずにいると

Aの剣が空気を切り裂きながら宙を舞う。歪みは挙動に反応できない。
余裕のある年季の入った戦い方。
鮮やかな手並みに思わず舌を巻いてしまう。

「往生際が悪いんだよ。さて、年貢の納め時だぜ?」

Aと歪みが激しい格闘戦を繰り広げている姿が見える。

治と中也はAに向かって衝動の赴くまま叫ぶ。

太「姉さん!!」

中「頑張れえええ!!」

Aはにこりと口の端を吊り上げてみせる。

彼等の声援を通じて熱い塊がどんどん身体に流れ込んでくる。

どうしてだろう。気持ちが昂ってる。ずっと胸がドキドキしている。
こんな時に何だけど実は今、ちょっとワクワクしている。

「いっくぞっおおおおおお……!!」

私が叫んだその瞬間、突然視界に光が弾けた。身体のうちから、力強いエネルギーがふつふつと沸き起こっているのを感じる。

「今なら何でもできそうな気がする…!!!」

体が嘘のように軽く、全身が太陽のごとく熱を発し活力に満ち溢れているようだ。


死ぬのは怖い。私は彼等みたいな誰もに愛されるような勇敢な主人公にはなれない。
だけど、誰かを護るために決して死なない。自分の命も周りの人間の命も全部まとめて護る。そういう覚悟で戦う。

絶望的な状況でも傷つき倒れることを厭わず果敢に立ち向かう。
仲間を護るためならどんな危険も顧みずにその刃を振るう。
そのせいで怪我を負うことになったとしてもこんなの大したことねぇと鼻を鳴らして終わらしてしまうような大きな器のある人になりたい。

皆、自分の人生の主役なんだ。
誰かの頑張りは誰かの勇気にるその勇気は皆を動かしていく。
たとえ小さくても私の一歩だって誰かの勇気になるはず。
私だけじゃない。皆の勇気が誰かの勇気に変わっていく。だから誰しも無力なんかじゃない。何かを変えられる力を持ってるんだから。

地を踏み歪みに向かって一直線。
もって後1分というところだろう。
私は剣を振りかぶった。
何の技巧も捻りもない私の思いが全部詰まった全身全霊の一撃。
私は全力で振り抜いた。

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甘栗(プロフ) - ウナさん» どんどん中也さんの活躍増やしていこうと思ってます!ドキドキしてもらえるように頑張ります! (2019年4月4日 19時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - うわあ、もうかっこよすぎです、中也!!やばいですよもう!凄いです! (2019年4月4日 18時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - チョコ味の白兎さん» 確かに口調が敦君みたいですね(笑)色々な関係が動く予定なので楽しみしててください! (2019年3月30日 20時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - 雪宮暦さん» カッコいい中也を目指してるのでそう言って貰えて嬉しいです! (2019年3月30日 20時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
チョコ味の白兎 - 最後のセリフが敦くんっぽい!ここからの展開が楽しみ! (2019年3月30日 17時) (レス) id: 8cc010c4ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:甘栗 | 作成日時:2019年2月28日 16時

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