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109話 ページ39

Aさんに出会ったばかりの時、何に対しても反抗的だった生意気な餓鬼だった俺とは違う。
背は貴女より伸びなかったが成人済みだ。
今や幹部の一員だ。

貴女の背中を追いかけるのはもうやめにする。
気が付かなかった何時も頼もしくて大きかった背中。
だけど本当は今にも壊れそうな小さい背中──

中「貴女を守るのは太宰じゃない。この俺だ。」

他人に頼れず一人で抱え込む貴女を守りたいんだ。
貴女に頼られる唯一になりたい。

貴女は無意識だと思うが、他人に変装する異能力を使って自分の本心を隠しているのを俺は知ってる。

貴女の笑顔は何処か仮面のようなんだ。
本当の笑顔が見たい。
心の底から笑ってる貴女を見たい。
その隣に俺がいられたらどんなに嬉しいか。

思いが強く、気がつくと目の先にのAさんの顔があった。
珍しく焦った顔を見せるAさんに息を飲む。いっその事このまま、と思った時。

プルルルル──

携帯電話の着信音が二人の空気をかき消した。
タイミング悪すぎだろうと、小さく舌打ちをしてAさんから離れて電話に出た。

どうやら上層部宛の脅迫状と黒服の死体が送られてきたそうだ。
せっかく二人きりで良い雰囲気になったのを邪魔されて向かっ腹が立つ。
戻らないわけにはいかないのでお開きとなってしまった。
Aさんは仕方がないよと言ってくれたがせめてもということで喫茶店迄送ることになった。

黒服の運転する車の中で隣り合って座る。
思っていたよりも反応は悪くなかった。もしかすると脈はあるのではないかと心の中でガッツポーズをする。
やっと巡ってきた機会を手放すわけにいかない。
喫茶店の前で車を止めるつもりが近くの街中で良いと言われたのでそこに車が止まる。

車から降りたAさんを引き留め近い内に会いに行っても良いか確認をとる。
会いに行けることは確定した所までよかったのだが…
Aさんの新しい弟子を期待していることがよくわかる穏やかな表情に少しやきもきする。

夜風が吹いてドレスがたなびいた。
映画のワンシーンの様なAさんに宣言した。

中「いつか──貴女の事を必ず振り向かせますから、覚悟してて下さいね。」

俺の宣言は風によって掻き消されたのでAさんには届かなかった。
だが今はそれで構わない。

車が発進してAさんに見送られながら黒服から資料を受け取る。


歯車が少しずつ動き出していると知らずに──

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甘栗(プロフ) - ウナさん» どんどん中也さんの活躍増やしていこうと思ってます!ドキドキしてもらえるように頑張ります! (2019年4月4日 19時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - うわあ、もうかっこよすぎです、中也!!やばいですよもう!凄いです! (2019年4月4日 18時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - チョコ味の白兎さん» 確かに口調が敦君みたいですね(笑)色々な関係が動く予定なので楽しみしててください! (2019年3月30日 20時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - 雪宮暦さん» カッコいい中也を目指してるのでそう言って貰えて嬉しいです! (2019年3月30日 20時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
チョコ味の白兎 - 最後のセリフが敦くんっぽい!ここからの展開が楽しみ! (2019年3月30日 17時) (レス) id: 8cc010c4ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:甘栗 | 作成日時:2019年2月28日 16時

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