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107話 ページ37

まだ不貞腐れているAさんをエスコートして最上階のレストランに案内する。
今日の為に貸し切った腕と信用のあるレストランだ。
店の中に不届き者がいないかざっと見て回っていると何故かAさんに敬語で話しかけられる。
貸切状態に狼狽えてるようだ。情報を漏らさない等と尤もなことを言っているが本当は綺麗に着飾ったAさんを他の人に見せたくなかった独占欲だったのだが口には出せない。

円卓に座って注がれたワイングラスを持ち上げ乾杯をする。
恃んでおいた上物のワインは美味しく満足だ。
ワインが好きな事を知られていたようで美味しそうに飲むねぇと笑われたのは少し恥ずかしかったのだが。

Aさんがグラスを置いて横浜の街並みを見下ろしながらポツポツと話始めた。
この間の話では知ることが出来なかった事細かな体験談だ。

前世の話は怪奇譚としか言いようがなかった。
前世の話をしているAさんの愛しそうな寂しそうな表情が焼き付いて離れなかった。
何と声をかけたら良いかわからず、聞き役に徹することしか出来ない歯痒い俺を察したのか別の話題に変えられた。
気を遣わせるつもりでは無かったのだ、そんなAさんにまた壁を感じた。

気持ちを切り替えて異能力の話をする。
どうしても不可解だったのだ。
かつて聞いていたAさんの能力は相手の思考を読み取るはずだ。
にも関わらずAさんは別人に変装したり、気配を消したり、何処からか剣を取り出して戦ったりしていた。
他にも身体強化等挙げられる。複数の異能力を持っているのかと考えていたのだが。

その事を言うとAさんは頬を掻きながら考え出した。そして他言無用と言うことで特別に教えてもらうことになった。

「全ての能力は根本的に1つの能力なんだ。」

全て別々の力に感じられるがどういうことなのだろうか。理解できない俺にAさんが分かりやすく説明してくれた。

まさか理屈を理解していたら何でも実現できるとは想像も出来ない能力だ。
確かにAさんが大々的に能力を言うことは出来ないだろう。
Aさんを求めて争いが起きてもおかしくない。
不要な戦いを生まないために力を隠していたのだろう。
自分の回りの誰かを傷付けない為というAさんの優しさに感銘を受けながら誰にも言わないことを誓った。

自分だけなのかと聞いてみると太宰の野郎が知っていると聞いてげんなりしたのはご愛嬌だ。

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甘栗(プロフ) - ウナさん» どんどん中也さんの活躍増やしていこうと思ってます!ドキドキしてもらえるように頑張ります! (2019年4月4日 19時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - うわあ、もうかっこよすぎです、中也!!やばいですよもう!凄いです! (2019年4月4日 18時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - チョコ味の白兎さん» 確かに口調が敦君みたいですね(笑)色々な関係が動く予定なので楽しみしててください! (2019年3月30日 20時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - 雪宮暦さん» カッコいい中也を目指してるのでそう言って貰えて嬉しいです! (2019年3月30日 20時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
チョコ味の白兎 - 最後のセリフが敦くんっぽい!ここからの展開が楽しみ! (2019年3月30日 17時) (レス) id: 8cc010c4ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:甘栗 | 作成日時:2019年2月28日 16時

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