92話 ページ21
治side
少しだけどと言って姉さんにお酌をする。
私にとっての姉さんは17歳程で止まっているので大人になった姉さんは知らない人みたいで複雑だ。
酒を呷る姉さんは絵となる。じっと見ていると今度は姉さんが私にお酌をしてくれた。
ちびちびと飲みながら離れ離れになっていたときの話をする。
龍頭抗争の時の事や織田作の事。探偵社の入社試験に最近の出来事等。
姉さんはポツポツと話す私を急かすことなく静かに聞いてくれた。
私の話が終わると今度は姉さんの話が始まった。
姉さんが前世の記憶を取り戻した時の事。アンシャルにキシャルを止めるためにどのようなことをしていたのか。死んだことになってから弟子をとった時の事。そして姉さんの言うシナリオを守るためにどのような奮闘をしていたのか等。
驚いたことは姉さんの異能力は相手の思考を読み取る能力で無かった事。
理屈を知っていることを再現できる異能力だという色んな組織に求められるような能力だった事は今後のそれぞれの組織の姉さんの扱われ方に懸念が生じた。
そして富受国広は前世の名字とある物語の人物からとったらしい。
富受の時の無礼を詫びると気にしないでと笑っていたが罪悪感が…変装できるなんて聞いてないとむくれると笑いながら謝られた。仕方がないから許すけれど…
そんなこんなで話をしていると昔に戻ったみたいだ。お酒が尽きた頃には夜も更けていて大きな満月が浮かんでいた。
姉さんが片付けている間に襖から布団を取り出す。
並べて敷いていると姉さんが手伝ってくれた。
照明を消してからも暫くの間は話していたが、姉さんが側にいるという安心感からかすやすやと眠ってしまった。
頭を優しい手が撫でてくれる。
遠くから姉さんの声が聞こえる。
「治は治らしく思い切り自分の人生を生きてほしい。治の笑顔が……存在が私の何よりの生きる希望だからね。ふふ、駄目だね。なんだか今になって照れてきちゃったよ。」
姉さんの言葉が胸に染み入る。
此方の台詞だよ。口にすることは無かったがそれでも良いかと思った。
姉さんの方に寝返りをうった振りで近づく。すると案の定姉さんが私を姉さんの使っている掛け布団の中に入れてくれた。
今この時だけは童心に戻らせてほしいと姉さんに抱きつくと姉さんは私の背中をさすりながら抱き締め返してくれた。
姉さんが背中を撫でる手のリズムが私の眠りを誘う。
微睡みの中、久方ぶりの良き眠りについた。
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甘栗(プロフ) - ウナさん» どんどん中也さんの活躍増やしていこうと思ってます！ドキドキしてもらえるように頑張ります！ (2019年4月4日 19時) (
レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - うわあ、もうかっこよすぎです、中也！！やばいですよもう！凄いです！ (2019年4月4日 18時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - チョコ味の白兎さん» 確かに口調が敦君みたいですね(笑)色々な関係が動く予定なので楽しみしててください！ (2019年3月30日 20時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - 雪宮暦さん» カッコいい中也を目指してるのでそう言って貰えて嬉しいです！ (2019年3月30日 20時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
チョコ味の白兎 - 最後のセリフが敦くんっぽい！ここからの展開が楽しみ！ (2019年3月30日 17時) (レス) id: 8cc010c4ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘栗 | 作成日時：2019年2月28日 16時
