91話 ページ20
治side
医務室に泊まる予定の姉さんを家に連れて帰ったので、今夜は一緒にいられるようになった。
半ば無理矢理だったが快く承諾してくれた事が凄く嬉しく、柄にもないと自分を笑ってしまう。
帰り道に立ち寄った夕飯の買い出しは久々で何気ない日常が色づいて見える。
姉さんの"おかえりなさい"が嬉しくてこそばゆい。
手伝うと言ったが断られた夕飯作り。
やることがないので食器の準備をしていると普段の部屋からは想像もつかないような生活音が台所から聞こえてくる。
野菜を切る音に味噌汁の匂い。時折聞こえる姉さんの声。
そわそわしてしまいそっと後ろから近づき夕飯のおかずのだし巻き玉子をつまみ食いする。
姉さんの作るだし巻き玉子の味は昔と変わらなくて涙が出そうになった。そんな自分を見られたくなくておちゃらけた様子で誤魔化す。
姉さんが怒った素振りでお玉を此方に向けてくるがそんなやり取りさえも楽しくて。
谷崎兄妹の事笑えないななんて苦笑してしまう。
手料理を食べるなんて何時ぶりだろうか。
並べられた食事は至って普通な日本食なのだが私にとっては高級料理と大差ないくらい美味しく感じられた。
満腹感に浸ってると姉さんが食器を片付けてお茶を入れてくれた。
お茶を飲みながら洗い物をする姉さんの後ろ姿を眺める。昔はあんなに大きく感じていた後ろ姿は今見るととても小さく儚く見えた。
あの背中に何度助けられたか。あの背中にどれ程の重荷を背負っていたのか。これからも姉さんは私達の未来を護る為に背負い続けるのだろう。
今回姉の抱えていたものを聞けて私は良かったと思っている。これからは私も一緒に背負いたい。
姉さんは私に風呂を勧めてきた。休むために一緒に居るのにバリバリと働く姉さんはやはり姉さんだなと苦笑いしながら先に風呂に入る。
私が出た後姉さんも風呂に入ったが着替え無いこと忘れてるのだろう。
風呂場からあ…と情けない声が聞こえてきた。私はつい吹き出してしまったが可哀想なので着られそうな自分の服を持って脱衣場に置いていく。
姉さんが風呂から出たらとっておいた上物のお酒があったので一緒に飲もうと思い準備を始める。
暫くすると姉さんが私の服の袖を捲りながら出てきた。
でかくなりやがって、と小突いてきた姉さんが面白くて笑うとむっとしてきた。
謝りながら座布団に座るよう勧めると姉さんが私の持っている日本酒の銘柄を見て驚いていた。
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甘栗(プロフ) - ウナさん» どんどん中也さんの活躍増やしていこうと思ってます!ドキドキしてもらえるように頑張ります! (2019年4月4日 19時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - うわあ、もうかっこよすぎです、中也!!やばいですよもう!凄いです! (2019年4月4日 18時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - チョコ味の白兎さん» 確かに口調が敦君みたいですね(笑)色々な関係が動く予定なので楽しみしててください! (2019年3月30日 20時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - 雪宮暦さん» カッコいい中也を目指してるのでそう言って貰えて嬉しいです! (2019年3月30日 20時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
チョコ味の白兎 - 最後のセリフが敦くんっぽい!ここからの展開が楽しみ! (2019年3月30日 17時) (レス) id: 8cc010c4ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:甘栗 | 作成日時:2019年2月28日 16時