【明治東亰恋伽】もしもがあるなら 参

【その場で立ち尽くす ２】 ページ45

『あの、では私はこれで』



考えたいこと、整理したいことが頭の中でモヤモヤしているので一人になりたかった。しかし、「どこへ行かれるのですか？」と引き止められる。



『外の空気を吸ってこようかと……』



「では私も一緒に行きます」



『え？』



「いけませんか」



驚いたようにキョトンとする岩崎さん。
私は普段話しているときとは違う素のその表情に少し驚く。しかし飲まれてはいけない、流されてはいけないとあわてて頭を横に振った。



『こ、困ります』



「なぜ困るのですか？」



『なぜ…………』



顎に手を当て、悩むように言う岩崎さん。
しどろもどろになる私の反応に岩崎さんの眉間にはシワが寄っていく。



「……明確な理由がないのに断っていらっしゃるのですか？それは、私が頼るに値しない男だという理由からでしょうか」



『いえ！そういうわけでは……ないんですけど……』



「ではなぜ私は断られているのでしょうか。その訳を伺いたい」



必死に否定するが納得はしてもらえない。本当の理由を話していいのだろうか。笑われないだろうかと言う思いが渦巻く。私の考えたいこと整理したいことなんてひとつだけだ。
簡単に人に明かして良いことだとは思えない。だからこそ躊躇している。
岩崎さんが知りたいのはその部分だろう。
結局私が口を開けないまま、時間だけが過ぎていく。その最中岩崎さんはが意を決したかのような表情で口を開いた。


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