【ナイルさんの行動を考える】 ページ31
「じゃ〜ね〜」と言う言葉が頭の中に反響する。これは別れだ。このまま見送ってしまったら、ナイルさんは私の前には二度と現れないだろう。
今ここで見失うわけにはいかない。
ナイルさんが壁をすり抜けるビックリ人間でもない限り、外に出るには建物正面の庭を通るはず。そう思いホールから庭へと向かった。
「A？」
廊下で正面から声をかけられ足を止める。
目に写るのは鮮やかな朱い髪。
『鏡花くん？』
「……そんなに急いでどこにいくのさ？まだ舞踏会は終わってないじゃないか」
何かを警戒したのか嫌な空気を感じたのか、鏡花くんは私の手首を使って尋ねる。
『離して下さい、ナイルさんがいたんです！』
「え？」
『こっちへ行ったはずなんです。だから……』
「僕も行く」
『えっ』
「だから、グズなあんたについてってやるって言ってるんだ！感謝しなよね！」
『！は、はいっ！』
私が慌てて頷くと彼は満足そうにスン、と鼻を鳴らした。
急いで二人で建物の外へと向かう。私の手首は鏡花くんに握られていて、
けど、私の頭の中はナイルさんの言葉でいっぱいだった。その真意がなんなのか、どういうつもりなのか。私の元の時代との繋がりは今となってはナイルさんだけなのだからいなくなられては困る。
建物から出ると人はまばらになり辺りには静けさが漂っていた。ぐるりと景色を見渡すがナイルさんの姿は見えない。追いつけなかったのだろうか？
背中を嫌な汗が伝う。
「……」
『……？』
ふと、鏡花くんの方を見ると鏡花くんではなく、その肩にいたうさぎと目があった。赤い双眸がじっとこちらを見つめている。
「『わっ！』」
物の怪であるこの子には何か違う景色が見えているかもしれない、と考えていた矢先だった。
見つめあって数秒、うさぎさんが鏡花くんの肩から飛び降りたのだ。
私が鏡花くんに意見を求めるかの如く、横を向くと同じタイミングで鏡花くんも私を見ていた。目線が合うと、鏡花くんは力強くうなずいた。彼は口には出さなかったが「追いかけるよ」と言われたのだとわかった。
ピョンピョンと跳ねていくうさぎを見失わないように2人で追った。
追いかけた先、たどり着いたのは建物の裏にある小さな庭園。正面に比べ落ち着いた雰囲気のそこは人気がなく薄暗い。見ただけで足を踏み入れることを躊躇いたくなる。
あたりを見回すと、その庭の中央に私が探していた人物がポツンと立っていた。
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【ナイルさんの行動を考える２】→←【追いかけてテラスへ出る ４】
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小崎相良(プロフ) - Koma?さん» お返事遅くなりすみません！ありがとうございます！ (2022年1月22日 18時) (
レス) id: 6783c5a7bd (このIDを非表示/違反報告)
Koma?(プロフ) - ちょーぜつ面白いですね！最近めいこい見始めて最初に出会った作品がこれで良かったです！ (2022年1月16日 11時) (レス) id: 286de14237 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 二酸化酸素さん» ありがとうございます！嬉しいです！ (2021年7月21日 22時) (レス) id: b1e523f101 (このIDを非表示/違反報告)
二酸化酸素(プロフ) - 本当にゲームをしてるような気分になりました (2021年7月19日 1時) (レス) id: f6be19e74d (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 鈴華さん» 楽しんでいただけたなら幸いです(o´艸`)！こちらこそ閲覧頂きまして、ありがとうございました！ (2020年8月4日 23時) (レス) id: 5536140bcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2020年2月23日 10時
