第漆話_体温 ページ14
「怖かったら、嫌だったら拒絶してもいいからな」
『……』
ふわり、と優しく包み込まれる身体。触れた場所から体温が伝わる。芽衣ちゃんとは違う男の人独特の力強さがある。しかしその力強さは冷静に感じれば、怖いものではなかった。今朝あれだけの恐怖を感じたのが嘘のようで、自分でも驚いてしまう。強張っていた身体から力が抜けていく。
「怖くねぇか?」
『……はい』
「……そうか」
音二郎さんに寄りかかる。包み込まれる温かさにじっとしていると頭に何かが触れる。
驚いて音二郎さんを見つめると、彼は少しはにかんで笑う。優しく頭を撫でられ、その温もりと心地よさに私は目を閉じた。
『音二郎さん』
「おう、なんだ?」
『……今朝、すみませんでした。私……』
「……気にすんな!俺も初めての経験だったからよ、怖がらせちまったし……お互い様、だろ?」
『でも』
「Aが今こうしてくれてるだけで俺は嬉しいんだよ。俺は普段からAにもっと頼って欲しいって思ってたんだぜ」
どこまでも兄貴肌で優しい音二郎さん。
照れ臭そうに笑うその姿に胸がギュッと締め付けられた気がした。
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小崎相良(プロフ) - Koma?さん» お返事遅くなりすみません!ありがとうございます! (2022年1月22日 18時) (レス) id: 6783c5a7bd (このIDを非表示/違反報告)
Koma?(プロフ) - ちょーぜつ面白いですね!最近めいこい見始めて最初に出会った作品がこれで良かったです! (2022年1月16日 11時) (レス) id: 286de14237 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 二酸化酸素さん» ありがとうございます!嬉しいです! (2021年7月21日 22時) (レス) id: b1e523f101 (このIDを非表示/違反報告)
二酸化酸素(プロフ) - 本当にゲームをしてるような気分になりました (2021年7月19日 1時) (レス) id: f6be19e74d (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 鈴華さん» 楽しんでいただけたなら幸いです(o´艸`)!こちらこそ閲覧頂きまして、ありがとうございました! (2020年8月4日 23時) (レス) id: 5536140bcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小崎相良 | 作成日時:2020年2月23日 10時