検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:56,353 hit

Another:藤田 ページ29

その時は昼休憩を終えて、いつものように見回りをしていた。少し前に人買い事件が未遂で終わったこともあり、まだ犯人は動くだろうと読んで警戒をする。未遂に終わったということは、まだ犯人が動く可能性が高いということだ。
妖邏課も例外ではなく、総動員で見回りに駆り出されていた。

普段のように周りに警戒しながら大通りを歩いていると、不意に後ろから声をかけられる。警戒をしながら振り向くと、白い飾りの簪で髪を括っているAがいた。Aは視線が交わると、ふわりとした笑顔で挨拶を交わす。



『こんにちは、藤田さん!』



「……何か用か?」



『先日はご迷惑をおかけしました。お見舞いに来てくださったんですよね?』



そう言って首を少し傾けて微笑んだ。
気恥ずかしくなった俺はフイ、と視線を逸らす。



「成り行きで行っただけだ。小泉が可笑しな見舞いを持って行こうとしていたのでな」



『成り行きでも嬉しかったです。ありがとうございました』



深々と頭を下げる姿に驚いたものの、心が暖かくなった。
Aの明るくて純粋なその反応に俺も心が安らいでいるような気がして、思わず笑みが溢れる。



「……そうか」



『はい!』



Aは笑顔で答えた。
その時、ふとこの娘の依頼で先日調べ物をしたことを思い出す。人探しをしていた、ということを。
あれから結局、警察署でも妖邏課でもそれらしい話は聞いていない。進展はあったのだろうか?そう思い、「お前のほうはどうだ」と尋ねた。
Aは俺の言いたい事がわからなかったようで、キョトンとしている。



『私ですか?』



「……人を探していただろう?見つかったのか?」



俺の言葉にAは小さく首を横に振った。



『残念ながら見つかっていません。鏡花くんから目撃情報はいただけたので、どこかにいるとは思うんですけど……』



「……情報が入れば提供してやるが、今のところそれらしき目撃情報は入っていない」



『そうなんですね……鏡花くんが会えたのは偶然だったのでしょうか……?』



「さあな。それは本人にしかわからんだろう……ただ、話を聞く限りその男は “故意にお前に合わないようにしている” ような気がするがな……」



顎に手を当て考え込む。Aが不安そうに瞳を揺らした。


.

Another:藤田→←第廿参話_仮定



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (37 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
88人がお気に入り
設定タグ:明治東亰恋伽 , めいこい , トリップ   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

小崎相良(プロフ) - 閃光のまりあんぬさん» コメントありがとうございます!不定期な更新ですみません(>_<)藤田さんカッコいいですよね!少し不器用な優しさにキュンときます(o´艸`) (2020年2月20日 9時) (レス) id: b334f4b37a (このIDを非表示/違反報告)
閃光のまりあんぬ - とっても面白いです!! 更新頑張ってください! 楽しみにしてます☆    ちなみに私は藤田さんファンです…! (2020年2月19日 23時) (レス) id: 68c769878e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:小崎相良 | 作成日時:2019年8月13日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。