第参話_1週目 ページ5
私は吐き出すかのように話した。
今までの経緯と自らの気持ち。
人には話してこなかった思い。
この男性はとても聞き上手で、うんうんと相槌を打って私の話を受け止めていくれた。辛かったこと、大変だったことを話すうちに私は涙が溢れてきたが、男性は慌てたりオロオロする様子はなく。
懐からハンカチを取り出し、そっと拭ってくれた。
とても紳士的で大人っぽい、それが男性への印象だった。
「辛かったんだね」
『本当に!もう毎日がてんやわんやでやることに追われて…抱えきれなくって……でも、話を聞いてもらえて少しスッキリしました』
「そっか」
『はい』
「僕はよくここにいるからさ、また話し相手になりに来てよ」
『え、いいんですか?』
「いいよ。退屈だもの」
1時間近く話を聞いてくれたその男性は、そう言って大きくため息をついた。
退屈って…私の話は聞いてて面白い内容ではないだろうに。
『そうですか……あ、自己紹介してませんでしたね。私はAAと言います。あなたは?』
「僕?………………………………僕はナイル」
ナイルさんはそう言ってにっこりと笑う。
名前に悩んだような気がした。しかし、親切心から話を聞いてくれている人を疑いたくないので、そのまま受け入れる。
『ナイルさん、ですね』
「ウン」
『今日はありがとうございました』
そう言ってぺこりと頭を下げてお礼をする。
ナイルさんは「また来てね」と言い、公園のベンチに座ってひらひらと手を振っていた。
帰路を歩きながら空を見上げた。
そして気づいた。
夜空に美しい赤い満月が浮かんでいることに。
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小崎相良(プロフ) - あららさん» コメントありがとうございます!私も芽衣ちゃん好きです!こちらこそ、これからも宜しくお願いします! (2019年6月30日 20時) (レス) id: bb37bfea9e (このIDを非表示/違反報告)
あらら - めちゃくちゃ面白いです!めいちゃん好きなんで話に出てきて嬉しいです!これからも更新を楽しみに待ってます! (2019年6月29日 23時) (レス) id: 3866ce7f97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小崎相良 | 作成日時:2019年6月15日 0時