【ヒロアカ】ここにいる理由

Another:瀬呂 ページ46

俺と上鳴はAの全力の拒絶を受けた。

目の前では体を小さく丸めて座り込むAの姿。


これは、やり過ぎたかもしれない。
途中で上鳴を止めるべきだった。






本当はその存在が気になっていた。






個性が気になっていた。






それ故に、ストレートに疑問をぶつけ過ぎてしまった。



……相当なストレスをかけてしまったと思う。

Aの様子から“怖い対象”として認識されてしまったことが、今は手に取るようにわかる。


相澤先生から“人間不信”だと言われていたのに、俺達2人は配慮が足りず恐怖を与えた。



その結果が、この鞄だ。






鞄は絶え間なく降り注ぎ、止まる様子はない。







どうするべきか……考えていた時だった。







俺たちの横を切島が通り抜けた。


降り注ぐ鞄を気にかけることなく、進んでいく。

そして、Aの肩に腕を乗せ、その手でポンポンと頭を撫でた。






優しく、守るように。





その姿を見て、特別な信頼関係が二人にあると確信した。


あの日に……USJで何かあったんだろう。


『⁉』

「よ！A！元気にしてたか？」


Aが顔を上げて切島を認識すると、鞄の雨はやんだ。

切島はにこにこ笑いながら「怖かったよなー！」と言い、Aの頭をポンポンしている。

Aも抵抗したり嫌がる様子はなく、されるがまま、撫でられている。

というか、なんだか気持ちよさそうにしている……気がする。






先程の怯えた姿から一変。




困ったような、照れ臭いような顔。








その様子を見ていて、ふと、切島と目があった。





切島は人差し指を口に当てて、「しーっ」とする。



俺と上鳴は顔を見合わせてから切島に向かってコクリと頷いた。






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