第29話:治療 ページ33
切島くんの言葉に手を離すと「ありがとな!すぐ戻るから!」と言って部屋を出て行った。
『……』
「あんた、声出ないのかい?」
リカバリーガールの言葉に頷くと、紙とペンを渡され「あげるよ」と言われる。
「あんた、名前は?」
『……【AA】』
「Aさんね、 声が出ないのは元々かい?」
『……【いいえ】』
「そうかい…あの首輪はいつからつけてたんだい?」
『……【わからない、けど一年以上です。冬が二回来ました】』
「そうかい」
『……【ここは学校ですか?】』
「そうだよ。知らなかったかい?」
『…………【なんとなくなら】』
「ここは国立雄英高等学校。ヒーローを育成するための学校だよ」
そんな場所に死柄木さんたちは乗り込んでいたのか。
大規模とは聞いていたけれど、大規模すぎます……しかも国立。国に喧嘩売ってるようなもの……
そんなことをリカバリーガールと話していると「遅くなりました‼‼‼」と言って切島くんが保健室に帰ってきた。
『……【おかえり】』
「おお、た、ただいま。なるほど、筆談か」
『……【さっきはありがとう】』
「気にすんなって!あ、これ、食堂で貰ってきた」
そう言って手渡されたのはおにぎりと緑茶。
「まずそれをお食べ。それから治癒するからね。あんたは体型的に体力が持つか、ちと不安だからね」
そう言われておにぎりを食べ、お茶を飲む。おにぎりを食べ終えるとリカバリーガールが治癒してくれた。頭の傷も体にあった怪我の跡も綺麗に無くなっていて、こんな個性もあるのかと驚く。
この喜び、伝えないと。
『……【ありがとうございます!】』
「これが私の仕事だからね、まあ気持ちは受け取ったよ」
「んじゃ、戻るか!」
「ちょっとだけいいかい?」
「はい?」
『?』
リカバリーガールの言葉に首を傾げる。
「話を聞く限り、その子は雄英生じゃないだろう?」
『……』
「……違います」
「どこから連れてきたんだい?まさか、襲撃の……」
「先生! っ……確かに連合軍といました。けれど、敵ではないです!」
「……それを決めるのはあたしでもあんたでもないよ……警察、だろう?」
自分の存在はどこまで言っても周りの人たちを巻き込み、迷惑になる気がしてしまった。
やっぱりわからない。
何のためにこの世界に来たのだろう?
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小崎相良(プロフ) - 評価150票!皆様、ありがとうございます!嬉しさでにやにやしております(笑) (2019年7月12日 19時) (レス) id: be5de34a4a (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 瀷さん» コメントありがとうございます!頑張ります(´∀`*) (2019年6月1日 20時) (レス) id: fd7aceb583 (このIDを非表示/違反報告)
瀷 - 弔推しなんですけど、初登場が可愛いw頑張ってください! (2019年6月1日 19時) (レス) id: 3960a531d7 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 充希さん» ありがとうございます!どの場面でしたか?訂正したいので、教えて頂けると嬉しいです (2019年3月13日 23時) (レス) id: 4835e70326 (このIDを非表示/違反報告)
充希 - オールマイトの一人称は僕ではなく、私です! (2019年3月9日 13時) (レス) id: 1c94acc086 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小崎相良 | 作成日時:2018年9月30日 14時