第2話:住む場所 ページ4
見えるのは先ほど進んできた森の木々や獣道ではなく、民家と田畑。
自分がまだ見たことのない風景。
『(ここは……どこだ?)』
扉を閉じてまた開ける、閉じて、開ける、閉じて開ける、閉じて開ける。何度もなんども繰り返すが景色は変わらない。
なんで、どうしてこんなことに……行き場のない思いが頭の中でぐるぐると巡る。
状況を理解したことで絶望を感じた。
人って驚きすぎると声、出ないんだなぁ。
涙は引っ込んでしまった。
自分はきっと青ざめているんだろう。
そう思いながら深く息を吐いた。
これからのこと、考えないと。
絶望していたって今の状態ががよくなることはない。自ら動いて情報を得なければ。
そう考えて、とりあえず小屋を出た。
テクテクと歩いていると老夫婦が視界に入った。2人はのんびりと縁側でくつろいでいるようだった。
『あの、すみません、少しお時間よろしいでしょうか?』
2人はおや?という様子で目線をこちらに向ける。
「珍しいお客さんねぇ、何か御用かしら?」
『少々お伺いしたいのですが、ここはどこですか?道に迷ってしまって困ってるんです。』
老夫婦は「あらあら」「それは大変だ」と顔を見合わせた。
「どこへ行きたいのかね?わしらがわかれば教えるよ」
そう言ってくれた。よかった、なんとかなりそうだ。そう思い、自宅の住所を伝える。
「……あぁ、そこならこの家の近くだよ、案内してあげようか……こっちにおいで」
そう言っておじいさんが歩き出した。我が家の住所が伝わった。もしかしたらあの小屋は別の場所へワープするよう作られていたのか……
まるで魔法だな、世の中にはそんなこと本当にできるやつがいるのか……なんてことを考えながらおじいさんを追いかける。
『……ありがとうございます』
「ええよええよ、……ほれ、ここだよ」
『………?!』
優しいおじいさんの案内でたどり着いた場所は知らない誰かの家で。
……そこは我が家ではなかった。
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小崎相良(プロフ) - 評価150票!皆様、ありがとうございます!嬉しさでにやにやしております(笑) (2019年7月12日 19時) (レス) id: be5de34a4a (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 瀷さん» コメントありがとうございます!頑張ります(´∀`*) (2019年6月1日 20時) (レス) id: fd7aceb583 (このIDを非表示/違反報告)
瀷 - 弔推しなんですけど、初登場が可愛いw頑張ってください! (2019年6月1日 19時) (レス) id: 3960a531d7 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 充希さん» ありがとうございます!どの場面でしたか?訂正したいので、教えて頂けると嬉しいです (2019年3月13日 23時) (レス) id: 4835e70326 (このIDを非表示/違反報告)
充希 - オールマイトの一人称は僕ではなく、私です! (2019年3月9日 13時) (レス) id: 1c94acc086 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小崎相良 | 作成日時:2018年9月30日 14時