最悪のコマ送り。 ページ24
･･･この巨大な森の中にひとつ、立体起動と女型巨人の交戦する音がこだまする。レオナの背中には緊迫したその雰囲気からのプレッシャーで汗が伝い、ブレードを握る手さえも汗を垂らせた。
ぺトラとオルオが女型の目をつぶす。女型は前が見えなくなり、うなじを守りながらよろけ、木に寄りかかった。それを確認した瞬間、レオナが肩周りの筋肉を削ぐように目で指示する。３人はうなずき一斉に飛び掛った。
勿論レオナも深く、大きく、筋肉を損傷させる。リヴァイやアルマには劣ってしまうが、紛れもない精鋭であるその戦闘能力に、横で戦うぺトラたちさえも圧巻された。巨人の回復のための蒸気が出ている。回復のための時間はわずか一分。一分。 ････一分。
「っ！」
レオナは女型を一度見やると大きく目を見開いた。先ほどまで、削ぐことに精一杯で女型の様子を見ていなかったが、回復の蒸気が片目からしか出ていないのだ。
「待って、嘘。」
「そのうなじを削ぐ！！！」
「エルド待って！」
最高速度でエルドは女型に切りかかった。レオナの静止する声も聞こえず、次には骨の砕け散る音と血しぶきの舞う音が、しっかりと絶望と動揺の感情で満たされる３人の脳に響いた。
「な、何で･･･。」
ぺトラが声を震わせる。
「片目だけ、先に直した･･･。馬鹿みたいに頭がいい･･･。」
レオナは弱弱しく言葉を発した。
「っ！ ぺトラ早く体制を立て直して！」
「ぺトラあああっ！」
レオナの声も、オルオの声も届かず。ぺトラは木に打ち付けられ、そのまま首に木が刺さりながら血を流した。
「おい･･･。」
「オルオ、待ちなさい。感情だけに身を任せちゃ･･･。」
怒りがこもるオルオがの行動が読めたレオナは、オルオをとめるが、そんなことも聞かず･･･。
「･･･死ね！！」
直接うなじに切りかかる。勿論その刃は、巨人の硬化能力でうなじを通らず、砕け散った。
「オルオおおっ！」
オルオの体は女型の蹴りによって遠くへ飛ばされ、木に全身を打ちつけた。レオナにはそれがコマ送りのように見え、息がうまく出来ない。こうなることは分かっていた。これは討伐ではなく単なる時間稼ぎ。４人の命がここで奪われることは、分かっていた。それでもレオナは自分を憎んだ。憎み続け、涙を伝わせ続けた。
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小西 利音(プロフ) - ナルさん» コメントありがとうございます！ミルミハになってました？！すみません指摘ありがとうございます (2019年7月3日 2時) (
レス) id: 0660aea05f (このIDを非表示/違反報告)
ナル - すごく面白かったです！！更新頑張って下さいあと、ミルミハ区ではなく、エルミハ区ですよ!! (2019年6月21日 17時) (レス) id: 4a1c354212 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小西利音 | 作成日時：2017年4月11日 12時
