消えるモノ ページ3
涼介side
知念を追って小屋に入ると、もうみんなが集まっていて、荷物を整理したりしていた
涼介「...みんな、俺から話があるんだ。」
そう言うと全員作業を中断して、集まってくれた
そして...みんなにさっき何があったかをこと細かく話した
彩海のこと、あいつのこと、《ユメ》の存在、世界は沢山あって、でも彩海の体も、あいつも一人しかいないこと
俺が...別の世界の、別の俺の記憶が蘇ってきて、実は...苦しかったこと
大ちゃんには実は記憶が戻ってきたのか、頭が痛いということしか伝えていなかった
彩海の姿を見て、何故か胸が痛んだり、悲しくなったりしたことは言わなかった
けどそれも、全部全部話した
みんなは何も言わず、黙って聞いてくれていた
話終える頃には、小屋の光だけがゆらゆら揺れてと光っていた
涼介「...異変は感じてたのに隠しててごめん。みんなにも関わることだなんて思ってなくて...」
むつ向いてそう言うと、誰かの手が俺の頭を撫でた
大貴「大丈夫...大丈夫だからな。」
大ちゃんだ
涼介「何がだよ(笑)俺は別に...っ、あれ...」
大丈夫って何が?
俺は大丈夫だよ。
そう伝えたかったのに、顔を上げると頬を伝う何か
必死に拭ってもポロポロ流れてくる
涼介「あ、あれ...おれどうしたんだろ...はは、あはは...」
何が悲しいんだろ
なにか...
大貴「...大丈夫、大丈夫だよ、涼介...」
大ちゃんが俺を優しく抱きしめる
涼介「うっ、うわあああぁ!!」
。
泣いて泣いて泣きまくった
この胸がぽっかりと空いたような感覚
記憶が全部戻った時、俺きっとどこかでわかってたんだ
あいつは結局俺が作ったおれで、あいつはそれをわかってた
元の世界に戻ったら、この《ループ》の中の世界にいるあいつは消える
だからあれが最後だって、あいつは泣いてたんだ
嘘をついてまであいつにできる精一杯の《ヒント》を俺にくれた
涼介「...もう、だいじょぶ...」
大ちゃんから離れる
涼介「俺、絶対に...
誰も死なせないよ。」
外の木々が風に煽られ、力強く揺れた気がした
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作者名:有谷 彩涼 | 作成日時:2019年12月4日 9時