名取の隠し事《完結》 (ページ36)

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名取side

もう8時か...

今日1日疲れた

なんなんだよほんとに

ただの八つ当たりじゃねぇか

ふつふつと湧き上がる怒りとは反対に、情けないほどに傷ついている自分がいる

あー...俺やっぱ女々しいなぁ

仮眠室でぼけーっとスマホをつついていると何故か藍沢先生のメール欄を開いていた

...言ったら駆けつけてくれるかな

前のことがあってから俺は藍沢先生に頼ることが多くなった

うん、相談しよう

メールで伝えようとしたけど何故か手は違うことをしていて、いつも間にか電話のコール音が鳴っていた

ま、いっか

ｶﾞﾁｬｯ

藍沢『なんだ。今仕事中だぞ。変な用事だったらすぐきるからな。』

名取「...ごめんなさい。」

少し怒っている藍沢先生がほんのちょっと怖くなって、言うのを辞めてしまおうかな...なんて弱い自分がいる

藍沢『...なんだ。何かあったのか。』

さっきとはうってかわって、弱気な俺の発言を聞いた藍沢先生は優しく聞いてくれた

名取「...ぜ...ｸﾞｽｯ」

藍沢『ん？』

名取「かぜ、ひいて...でも灰谷もなんか大変っぽくて...辛いから看病手伝わなかったらなんか嫌がらせされて...ｸﾞｽｯ、も、嫌だ...俺やっぱこの病院にいない方が...」

藍沢『名取...』

こんなこと考えてなかったはず

でもこれは俺が思っていること、考えてる事だ

《嫌だ、苦しい、俺なんか》

俺の心の奥底にある、1度でてしまった負の感情が正体を現し、俺の頭を占領し、体が金縛りにあったみたいに動かない

いや、怖くて動かせないだけなのかもしれない

...あぁ、やっぱり俺は弱いんだ

強がって生きてた昔の自分に言ってやりたいよ

『お前は弱虫だ』

ってね

その事にもっと早く気づいていてたら、自分の心の弱さを認めることが出来ていたら、もっとマシな奴らに出逢えたはず

こんなことを考えることもなかった

『過去には戻れない』

その言葉の重要さを、大切さをもっと自覚していれば

俺は何かある事に上手くかわし、責任を誰かになすり付けてきた

名取「おれは...おれはっ...最低最悪だっ...！！！《あの人》と同じじゃねぇか...！！！」

やっと気づいた

俺は...

,

,

,

ここにいてはいけない