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syp side
『ーーーーーー"1人で"。』
そう言って目を伏せる彼女。
その真っ白な体がAが消えてしまうような気がして、もう一度抱きしめようとするが
それを彼女の手が止める。
『ショッピくんが街で色んなところに連れていって、手を引いてくれて嬉しかった。』
『普通の人に混じって、服を買ったり、ショーを見て笑ったり、飴細工を食べたり…普通の人みたいなことをして…。』
『初めて何でもない日にプレゼントを貰ったり……まるで、"普通の人間"になったみたいだった。』
そう言って穏やかに微笑むAの目には涙が溜まっている。
syp「Aは普通ですよ…、化け物なんかじゃないです。他の人よりもよっぽど普通の人間です。」
そう言う俺の声も震える。視界が少し滲んでいた。
『違う……違うのよ…!』
顔を歪めて、Aが泣き出す。
『だって、、だってさ。私がもし、
"普通の人間"なら!
こんなことにはなってないでしょう……?』
涙をボロボロ落とすA
その後、口に手を当てて肩を上下させ、彼女はしばらく泣いていた。
何も言えなかった。
ただただ、不甲斐なさに自分の目からも涙が零れ落ちる。
『ショッピくん、お願い泣かないで。私のことなんかで泣かないで…』
震える指で涙を拭ってくれるA
syp「自分なんかって、そんなこと言わんとってください…」
彼女は先程と同じように手で止めてきたが、構わず抱きしめる。
やっぱりAは抱きしめ返してくれなかった。
ただ腕の中で虚空を見つめながら涙を流している。
その目が全てを諦めたように濁っているのを見て、切なく思った。
不意に彼女がまた、口を開く。
『ごめんね、ショッピくんの仲間を混乱させてしまって。私のせいでしょ?ショッピくんのこと押さえてた人とかのこと責めないであげてね。』
syp「A…」
『それと、ありがとう。私のこと普通の人間として扱ってくれて。
3ヶ月間、本当に夢みたいだった…。
ショッピくん、ありがとう』
俺に少し寄りかかり、涙を流したままの目で俺の方をしっかりと見つめてそういったA。
涙を拭ってやることも出来ず、ただ彼女の名前を呼んで抱きしめることしか出来なかった
ーーーーーーーーーー
No side
os「俺ら…出ていこか」
オスマンが小声でそう言い、皆それに従う。
何とも言えない空気が流れていた。
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暁郗 - え?駄作とは??え??神作の間違いでは???? (2020年11月19日 20時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
ひな - とってもええお話やん(_><_) 続き楽しみしとこ♪ 応援してます!これからも頑張え!!!! (2020年10月1日 16時) (レス) id: 565863c7d8 (このIDを非表示/違反報告)
リズ(プロフ) - 椋。-ryou-さん» コメントありがとうございます!!泣いて欲しい話として書いたので、とても嬉しいです。これ以上の褒め言葉はありません…!!更新頑張ります! (2020年9月12日 23時) (レス) id: 294441511f (このIDを非表示/違反報告)
椋。-ryou-(プロフ) - ものすごく感動しています。特に「悲恋哀歌」は何度見ても涙が出ます。更新大変かもしれませんが、これからも応援しています。 (2020年9月12日 13時) (レス) id: 8b6ca01e67 (このIDを非表示/違反報告)
リズ(プロフ) - ソノさん» 頑張ります〜!!コメントありがとうございます!!続編も誠心誠意執筆していきますのでぜひ...!! (2020年9月7日 21時) (レス) id: 294441511f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リズ | 作成日時:2020年8月9日 12時