◯ ページ17
「わぁ、綺麗…」
星がキラキラ輝いている。
星座はよく分かんないが、とにかく綺麗だ。
「Aさんって星好きなんですか?」
「うん。星座とか星の名前とか全然分かんないけど、空を見上げるのが好き」
「そうなんすね。
…じゃあ、はい。どうぞ」
煙草を差し出される。
「…どうやって持つの」
「こうやって、指と指の間で挟んで持つんすよ」
「はへぇ」
持ってみるとぐらぐらした。
「じゃあ火つけますよ」
ライターが光って、煙草に近付いた。
「わぁ」
「吸い方分かります?」
「…分かんない」
「短く、強く吸ってください。長く吸ってたら駄目ですよ。
上手く吸えたら火つくんで」
やってみましょ。
そうしょっぴくんに言われ、煙草を咥える。
ゆらゆらと揺れる火を見ながら、力強く吸った。
「げほっ、ごほっ!」
「あー」
しょっぴくんはまるでそうなることがわかってたかのように冷静にライターの火を消し、私の口から煙草を取り上げた。
「まあそりゃそうですよね」
「うぅ…」
「俺の、初心者が吸うと咽せるんすよ」
「最初から言ってよ…」
「あはははっ!すんません」
しょっぴくんは憎めない。
それは後輩だからなのだろうか。それともしょっぴくんだからなのだろうか。
…あ。しょっぴくんの笑い声、初めて聞いたかも。
「煙草に火つけて煙が入ってきたら、口の中でちょっと待つ。
んで、肺に入れて出す」
「ほう…」
「お手本見せますね」
さっき私が不発だった煙草を持って、しょっぴくんは言った。
ライターがついて、すぐに煙草に火がついた。ここで肺に入れたら駄目なんだ。
しょっぴくんは煙草を灰皿に置いた。
「…へっ」
しょっぴくんが私に手を伸ばして、抱きしめた。
そのままの勢いでキスをされる。
口の中に煙が入ってきて、必死に吸わないように気をつける。
…というか、何もできなかった。
「ん。吸ってみてください」
「…は……」
あまりにびっくりして動けなくて、決して広くないベランダに座り込んだ。
煙が口の中から出ていった。味は苦かった。顔が熱い。
「そんな、反応するんすね」
もっと嫌がるもんかと思ってました。そうしょっぴくんは続けた。
「Aさん。煙草、美味しかったですか?」
「……も、勘弁です…」
「ははっ」
そういえば、私のこといつの間にか名前呼びだったなぁ。なんて考えていた。
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作者名:天の河 | 作成日時:2021年8月22日 1時