【26】恋人になるお話 ページ28
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Your side
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保健室に着いた、ような気がして、
ベッドに倒れ込んだような、気がした。
あんまり、覚えてない。
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「────シルクや、皆に言わなきゃいけない事があるんだよね」
遠くで、モトキくんの声がした。
誰と話してるんだろう。
「うん、Fischer'sにとっても大事なこと」
一人で話してるから、電話かな。
「まだ、本人に言ってないからわかんないけどさ」
フッと、目を開けたら白い天井。
それから、少しオレンジがかったカーテンが見える。
「俺、好きな人がいるんだ」
────ガン、と頭を打たれたような衝撃。
その言葉でハッキリした。
ここは、保健室で、モトキくんが運んでくれて、それから、
…それから?
「視聴者さんじゃない、…うん、大学が同じ人、…うん、どっちに転んでも、皆に言うのは俺達のルールだからさ」
モトキくんに、好きな人。
それを聞いて、私もわかった。
大学を休みたくなかった理由。
「だから、俺は言うよ」
私も、────モトキくんが好きなんだ。
わかった瞬間、
何でか涙が出てきて、抑えきれずに溢れ出した。
それを拭うように腕で覆う。
瞬間、
シャッと、カーテンが開いた。
『!』
「…影が動いたから、起きたのかと思って、」
『…起きた、…ありがとう、モトキくん』
「聞いてたよね」
その言葉に、内心ドキッとする。
『…聞い、てた』
「じゃあ、もうわかるよね」
『…私たち、…ばいばい、?』
恐る恐る、そう聞くとモトキくんは一瞬キョトンとして、すぐにまた笑った。
「何でそうなるの(笑)これからも宜しくじゃダメなの?」
『え』
「そっか、ハッキリ言わなきゃね」
そう言うと、モトキくんは横たわっていた私をゆっくり起こして、…手を握って、真剣な目で言った。
「俺、Aちゃんが好きなんだよ」
『…っえ、』
「最近、仲良いから期待してたんだけど、ダメだった?」
『…っ、メ、じゃ、ない、』
「?」
『ダメじゃ、ない、…私も、モトキくんが好きっ…』
熱のせいか、緩みきった涙腺からまた涙が溢れた。
モトキくんは笑いながら私の背をさすってくれた。
キミと、恋人になった日。
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成瀬(プロフ) - 海猫さん» コメントありがとうございます。「九分九厘」は9.9%では無く、どちらかと言うと99%の意味だと思われます…!九割、つまりほぼ完全な状態を指す言葉です。(間違っていたらお恥ずかしい限りですが)再度調べてみます、ありがとうございます… (2018年3月5日 23時) (レス) id: 12bce11f71 (このIDを非表示/違反報告)
海猫 - いつも読んでいます。雰囲気がとても素敵で大好きです。 前々から言おうと思っていて、9話の途中、「九分九厘」と出てますが、それだと9.9%で後の90.1%どこいったみたいな感じなので、多分「九割九分」で99%のことを言いたいのかなと…。 違ったらすみません…。 (2018年3月5日 17時) (レス) id: 9cd098678c (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - アクアさん» 有難うございます。丁寧なコメントで、読んでいる私も何だか満たされました。マイペース更新ですが見守っていただければ幸いです。 (2018年2月25日 19時) (レス) id: 12bce11f71 (このIDを非表示/違反報告)
アクア(プロフ) - 急にコメント失礼します。心がふわふわして、あったまるお話ですごく1つ1つ読み終わるたびに幸せな気分になれました。モトキくんらしいと言うと変ですが、すごく特徴を捉えた話し方だと思います。今日でファンになりました。また続編でも暖かい世界に浸りたいと思います (2018年2月25日 15時) (レス) id: 5012a3c832 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - 桜もちさん» (続き)じる方は、正直閲覧してくださらなくて結構だと思っています。そんな事でと思われるかもしれませんが、私の書きたいように書いているので、それを読みたい方だけ読めばいいと思っています。長文失礼しました。よろしければ、これからもよろしくお願いします。 (2018年2月24日 15時) (レス) id: 12bce11f71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:成瀬 | 作成日時:2017年1月28日 15時