目指せあの頂上へ (ページ46)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:9,240 hit

第43話ページ46

レンside

レン「……遅い。」

俺達は食堂で、いつものメンバーである女子たちを待っていた。

食事の時間ももうとっくに始まっており、周りの生徒はがやがやと楽しそうに食事をしていた。

シグ「本当に遅いね。何かあったのかな」

レン「ロネが昼寝してて起きないとか」

シグ「こんな短時間で寝る？」

それもそうか。
俺達は先に食べる気にもなれず、2人で他愛もない話をしていた。

食事の時間になり、10分が経過したその時だった。

シグ「……あれ、Aたちじゃない？」

シグが指さす方を見ると、音を立てずにドアを開けて入ってくるAたちがいた。

……目立たないようにしてるつもりだろうけど、俺達にとっては丸わかりだ。

Aたちはそそくさと俺達の方へ寄ってきて、あはは……と申し訳なさそうに笑いながら

A「ごめんね、いろいろあって遅れました」

と言った。

レン「……本当に遅かったな。あと1分遅かったら食べ始めてた。」

ライア「すみません。全員時間に気がつかなかったので……」

サクヤ「まあそういうこと。早く食おうぜ」

そして俺達は素早く食事に手をつけた。

*

ロネ「レン。」

食事の後、幼なじみのロネがそっと声をかけてきた。

レン「……なに？」

ロネ「あの……さ。さっきのことなんだけど。2人の過去のことみんなに話しちゃったんだよね。大丈夫だった？」

俺はそれを聞き、つい倒れそうになった。
過去の話は黒歴史。
シグの過去には俺もかなり登場するのだ。

レン「俺にも許可とれよ……」

ロネ「やっぱりダメだった？あー、ごめんね。
でもレン自身の過去のことは話してないから、安心してね」

ロネはいつものようにニコニコと言う。

レン「……そう。」

俺はそう言って、口を噤(つぐ)んだ。

昔の残像が頭をよぎる。
脳裏に浮かぶその悪夢は、その事を忘れてはならないと忠告しているようだった。