141話 心の誤魔化し方 ページ18
心身共にぼろぼろのAを見て、師匠は策を練った。
Aの気持ちが落ち着くまで、ここから出さないようにしよう。
それがいつになるかは分からないけど。
何日、何週間か経てば、Aに笑顔が戻ってきた。
それが作り笑いだと分かっていても。
師匠と話すAは、どこでなにをするよりも楽しそうだった。
Aも実質そうだった。
あんなことがあったけれど、師匠は「敵になるつもりはない」と言ってくれた。
Aにとって、師匠のもと程落ち着く場所はなかった。
だから笑っていられた。
でも、決して忘れた訳ではない。
どんなときでも気持ちの奥に在る「恐怖」。
思い出さないようにしても、思い出す。
忘れようとしたって、そう忘れられるものではない。
心は簡単には自分では変えられない。
だからといって誰かが、誰か自分以外の人が変えられる訳でもない。
A『うん、ありがとう師匠!』
A『行ってらっしゃい!私お留守番してるから』
A『おはよう師匠!』
A『おやすみ、師匠』
A『……セイカ』
セイカのことを思い出してしまう。
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作者名:ゴンクラ命の荒川白希 | 作成日時:2023年3月26日 10時