対面―�� ページ11
嗚咽を漏らしながら私から後退っていくすず。
まるで獣に狙われているウサギのように怯えた様子に、つい怯えたいのは私なのにと思ってしまいました。
廊下から突き刺さってくる厳しい視線が痛くて堪らない。
だからといって今どうすべきか、どうするのが最善なのかも分からない。
返して貰わないと、私はシャーペンをこの一本しかペンケースに入れていません。これでは授業中ノートを取る事も出来なくなってしまいます。
けれど、どうやって返して貰うべきか分からない。
考えているうちに、もう妹になんでも譲る大人しい人間にはならない、そう決めたはずなのにその決意が揺らいでしまうのが分かります。
もういっそ、今日は友人からシャーペンを借りてすずにこのシャーペンを譲ってしまうべきだろうか。
＿＿＿なんて、考え始めてしまった時。
「はいはい、悪いけどそれ返してね？」
聞き慣れた優しい声が冷たい空気の中響きました。
いつの間にかすずの手からスルリとシャーペンが抜き取られ、私の方へ差し出されています。
「…及川、君」
顔を上げると、柔らかい笑みを浮かべた彼がいてくれたのでした。
安心してしまったせいで思わず及川“さん”と呼びそうになってしまいましたが、敬語を外して喋る練習をしていたお陰かなんとか君付けで呼ぶ事が出来ました。相変わらず、まだ下の名前どころか名字に君付けするだけで緊張してしまいますが。
「これないとAちゃん授業受けられなくなっちゃうから、取らないで？
Aちゃんはこのシャーペン一本を大事にずっと使ってるんだよ。」
彼にお礼を言わなければという考えにやっと至った時には彼はすずに手短に、けれど丁寧に説明してくれていました。
このシャーペンが私が初めて貰ったお給料で買って、気に入っていた事。この一本だけを一年生の頃から使い続けている事。これが壊れてしまうまでは新しいものは買わないと彼に話した事も。
すずは突然私との会話に乱入してくる人間が現れた事に驚いたのか、涙を目に溜めながらも彼の顔を見上げていました。
廊下で私とすずの会話の行く末を見守っていた人達の視線も、もう厳しさを込められているようには思えません。
初めて、すずに私物を取られませんでした。
その事が妙に嬉しいような、姉としてこれで本当に良かったのだろうか、正しかったのだろうかと疑問にも思います。
けれど、彼はそれをなんとなく察したらしく。軽く私の頭を撫で、気にしないのと囁いてくれたのでした。
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Guilty(プロフ) - モモさん» コメントありがとうございます、キャラの把握、そして溺愛っぷりはかなりこだわって書いてますのでそう言って貰えると嬉しいです☺ (2023年2月23日 13時) (
レス) id: 4d6b8818fd (このIDを非表示/違反報告)
モモ - 及川さんの溺愛っぷりがすごいです！キャラがちゃんとつかめていて、見ててすっごく面白です！！ (2023年2月23日 13時) (レス) @page44 id: 759a61aa3f (このIDを非表示/違反報告)
Guilty(プロフ) - あさん» 長らくお待たせしてしまいましたね😅文章の書き方はこだわっているつもりですのでそう言って頂けると嬉しいです、ありがとうございますo(_ _)o (2022年9月11日 19時) (レス) id: 7dfd57a894 (このIDを非表示/違反報告)
あ - ここここ更新されてる😭ずっと待ってたんですよ！！1話1話の文の書き方好きです (2022年9月11日 18時) (レス) @page29 id: a182ab6823 (このIDを非表示/違反報告)
Guilty(プロフ) - あさん» 毎晩覗きに…！？Σ(ﾟ∀ﾟﾉ)ﾉマジですかありがとうございます、そんなに期待されていたとは…毎日更新が出来ないのが申し訳ないです、必ず近いうちにまた更新させて頂きますm(__)m (2022年8月23日 2時) (レス) id: 7dfd57a894 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Guilty | 作成日時：2021年7月8日 14時
