アモーレ、たまごたち！

第一愛：空中落下 ページ2

視界いっぱいに広がる空。雲はそれを彩るように流れ、太陽の光は私の体を暖かく包む。びゅうびゅう吹き付ける風は私の髪をボッサボサにしていく。


「ざっけんななんで落ちてんだカス！！！！！！」


空から落下してる。馬鹿なの？マジで……
状況をまとめよう。絶対空中でやることじゃないけどやっとこう。普段と違う環境で考え事をすることで頭が冴えることがある。今は多分冴えない環境だ。まぁいいか(よくない)！

「まず私はあ○スタのイベントを走りながら駅のホームで電車を待っていたんだよな……」

何で落ちながら喋れてんだろう……私……急に冷静になってきた……怖……。
てかあん○タのイベント大丈夫かな……ちょっと目を離した隙にランキングとんでもないことになるからなあのゲーム……

「電車の音が聞こえてきて……スマホから顔を上げたら後ろを通った人に背中を押されて……あ、死ぬ死ぬって思ったら……空、に……」

うん？どこかで聞いたことがあるようなシチュエーションだ。頭を捻りなさいA！答えはどこかにあるはずなんだから！


「あーーーー！！！異世界トリップだこれ！！！」


さっすが私！冴えてんじゃん！やっぱいつもと違うところで考え事をすると冴えるって本当だったんだ！ありがとう高梨先生！高梨先生は私の担任です。

「そうなると私死んだんか……？えー嘘……困るー……未練もクソも無いんだが……ママ悲しんでるだろうなー……」

てか滞空時間バカじゃない？まだ空なんですけど。え？てか急に速度上がっ＿＿＿

ドスン！

「痛！！！！！！カスが！！！！！！」

着地によって襲い来た尻の痛みにクソデカボイスを出したところで私はようやく周りの全貌を見た。森の中だ。うわ、それっぽーい！ちょっとわくわくしてきた。この森を抜けたらエルフの村があってそこで私は美少女エルフを助けて仲間にしてこの世を揺るがす魔王を倒しに……

「居たぞ。天女様だ」

「は？」

目を伏せて妄想に耽っていた私の前方から男性の声が聞こえた。っていうか、待って。今の、今の低くて澄んだ声は＿＿＿保志さんでは……！

「はじめまして天女様。お迎えにあがりま」

「ア゛ァ゛ーーーーーッッッ！！！！！！！！！！！」

「天女様ァーーー！？！？」

恐る恐る瞼を開けた先に信じられない光景が広がっていたので思わず顔を覆って後ろに倒れてしまった。ドミノもびっくりの倒れ方だったろう。今度は背中も痛くなった。クソ。

〃→←限界オタク

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