「本音」 ページ27
空っぽの心にポタリと水が一滴垂れたような、ほんの少しだけ満たされたような感覚。
顔を上げると、目の前に白が広がった。
「なんっ……で、どうし、て……!」
ビックリして声が裏返った。
「呼んだのは貴女でしょう?さぁ、貴女のお話、聞かせてください。」
ふっと彼の口元が緩められる。
溢れる想いを胸に押し込めてあの時のように私は微笑む。
「勿論です。言いたいこと、たっくさんあるんですからね。」
*☼*―――――*☼*―――――
今まで話せなかったことを沢山話した。
受験勉強頑張ってるだとか、クラスも大分静かになってきたとか。
彼の話も少しだけ聞いた。
たまに頭の切れる探偵が来てピンチになるとか、セキュリティが凝ってて盗むのに一苦労するとか。
そんな話をしていたらもう夜中の3時。
彼が立ち上がって手すりに足をかけた。
「では、私はこれで。また会いましょうね、お嬢さ……うぉっ!!??」
私はそのマントをグッと掴んで引っ張った。彼はベランダに落ち、痛そうに顔を歪めている。
「私、伝えたいことがあって」
「何ですか……」
きゅう、と喉奥が締まって息が詰まる。
震える声を絞り出して伝える。
「貴方を待ち侘びるようになったあの日から
ずっと、あなたのことが好______」
その時、ぐっと唇に指を押し付けられた。
尻もちをついていた怪盗は、いつの間にか立って目の前で微笑んでいた。
「ダメですよ」
優しい声色でそう告げられる。
「貴女のような素敵なお嬢さんが、私のような犯罪者を好きになるなんて。
ご両親が悲しみますから」
まるで子供をあやす時のような声だった。
無性にイライラした。その自分を包み隠して、押し殺しているのがこの人に出会う前の私のようで______自分を見ているようでイライラした。
手を振り払って私は彼に伝える
「私は本気です、私のこれは本音です。
私、本音で話してるんです!
……っだから!私は貴方の本音が聞きたい!」
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乃花おむ子(プロフ) - 白。さん» ありがとうございます!これからも気が向いた時にちまちま続編というか、後日談の「Secret Lover」更新していきますのでよろしくお願いします!レス返すの遅くなってしまいすみませんでした〜! (2020年2月19日 19時) (レス) id: 6c075283b8 (このIDを非表示/違反報告)
白。 - コナン知ってて、まじ快知ってて、あんスタまで知ってるとは…。作者さんとはお友達になれそうです!偶然見つけた作品なのですが、良いのに当たりました。他の作品も楽しみにしてますね。ささやかに応援します。 (2019年5月7日 20時) (レス) id: 0235a92526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:乃花おむ子 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Omutarosan1/
作成日時:2019年4月13日 20時