「少女は思いを」 ページ25
「……そうだね、辛いよ」
小学生相手に話す内容ではないのは重々承知している。でも彼には話せてしまうから不思議だ。お父さんやお母さんが凄い人なのかも、なんて考える。人の黒い部分をずっと見てきたような反応なんだもの。
「ねぇ、コナンくん」
「何?」
「君なら、今夜彼が逃げるビルわかるかなあ……」
声が震えていたような気がする。わからない。その時はもう何も考えずに言いたいことを言っていた気がする。
「どうしても、ちゃんとお話してから別れたいんだあ……この前は私、何も言えないまま、帰られちゃって、一番伝えたいことも、伝えられなくて」
ぐっと拳を握り込む。隣から「お姉さん」と優しく声をかけられた。
「僕、絶対キッドの逃走場所見つけてみせるから……わかったら絶対お姉さんに伝えるから!」
彼の小さい手が私の手をギュッと握った。
その心強さに「ふふっ」と笑みが零れ、「ありがとう」と小さくお礼をした。
*☼*―――――*☼*―――――
予告時間になってすぐ、既に幾つかのマジックが披露され、ギャラリーは熱狂していた。
そんな中、スマホが微かに震える。メールボックスにメールが届いたようで、パッと開くとそこにはコナンくんからのメールが表示された。
《 キッドは〇〇ビルの屋上に行くと思うよ!今日は派手にやったみたいだし、グライダーで飛ぶのに最適で1番高いのはそこだから! 》
メールにはそう書かれていたので、私はなんとかギャラリーを抜け出してビルに向かって走った。そこは廃ビルで、扉の鍵は壊れていたので簡単に開いた。
階段を走り、屋上のドアを開けた先に白いマントをはためかせた怪盗がいた。
「今日も引っかからなかったか、めいたんて______……っ!?お嬢さん!?」
どうやらコナンくんだと思い込んでいたらしい彼は、私の姿を見てギョッとした。
私は大きく息を吸って叫んだ。
「もう私はこれで諦めます!でもっ……私まだ貴方に話したいこと沢山あるんです!いつまでも待つって言ったのは確かに私ですけどっ、やっぱり貴方がいない夜はやっぱり心細いんです!
だからっ……!!
だから、もう一度、あの時間にお話したいんです!」
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乃花おむ子(プロフ) - 白。さん» ありがとうございます!これからも気が向いた時にちまちま続編というか、後日談の「Secret Lover」更新していきますのでよろしくお願いします!レス返すの遅くなってしまいすみませんでした〜! (2020年2月19日 19時) (レス) id: 6c075283b8 (このIDを非表示/違反報告)
白。 - コナン知ってて、まじ快知ってて、あんスタまで知ってるとは…。作者さんとはお友達になれそうです!偶然見つけた作品なのですが、良いのに当たりました。他の作品も楽しみにしてますね。ささやかに応援します。 (2019年5月7日 20時) (レス) id: 0235a92526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:乃花おむ子 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Omutarosan1/
作成日時:2019年4月13日 20時