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「一緒に来てくれる?」
「しゃけ」
いいよ、の意味を込めて返事をすると
Aはどこか照れくさそうしながらも安心したように
ありがとうと呟いた。
「じゃあ今度こそ行ってきます」
「暗くなる前に帰ってくるんだぞ、あと呪霊に気をつけろ」
「しゃけ」
「ま、棘がいるから安心か」
まだあまり会話が通じてないはずなのに
楽しそうに話しながら2人で歩いていった狗巻とA
そんな2人を見ていたパンダは─
「人間ってやっぱ色々面倒だなぁ」
「悟の言ってた"青春"ってのはこういう事か、後で教えちゃお〜」
めちゃくちゃにやけて楽しんでいた
Aが笑ったり微笑んだりすることは何も珍しいことでもないが
いまさっきの会話の中でAだけじゃなく狗巻も連られてほんの少しだけ微笑んでいたのを
ばっちり記憶した
これはあとで真希や五条に言ってしまうに違いない。
「棘がいるし、Aだって最初と比べりゃ大分様になってきたから心配ないと思うけど」
「最近呪霊が湧いてるからなんか嫌な予感がする」
─────────────────
────
「それでね、野薔薇ちゃんと真希の付き添いで美容院に行ったんだけど」
「いくら東京に住んでるとはいえこんな街中まで来たことなかったからわかんなくて」
高専から歩いて数分の所にあるバス停でバスに乗り駅へと向かう中
Aはスマホの画面とひたすら睨めっこ。
「あそこすごい!ここのお店かわいい!とか思ってたら肝心の美容院までの道忘れちゃって」
「下手したら迷子になるかも〜って心配だった」
スマホのマップを見ながら
ここを通って…と確認しようとするが
地図の見方がよく分かっていないのか数秒でギブアップ
「ツナマヨ?」
「ここなんだけど」
Aが地図を見たりするのが苦手なのは
ず〜っと幼少期に家の中にこもっていたからか
それともずっと遠くの方に行ったことのない世間知らずだからなのか
ただただ方向音痴なのか。
「狗巻くん地図わかる?」
「しゃけ」
「へ〜!すごい私全然わかんない」
「高菜…」
「え、なんでそんな目で見るの」
隣に座っていた狗巻にスマホを渡すと
呆れた目で見られて若干恥ずかしさを覚えた。

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まー(プロフ) - 亜紀さん» コメントありがとうございます…!尊敬だなんて恐れ多いです…これからも頑張ります:-) (11月29日 16時) (レス) id: 47d5979f19 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます…!私も小説を書いているのですが、ほんとに尊敬してます!更新頑張ってください! (11月28日 13時) (レス) id: ab4f96d557 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まー | 作成日時:2020年11月24日 19時