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「はははっ!!おもしれー!人間?」
「冗談じゃねーよ!お前のどこが人間なのか俺は教えて欲しいわ!」
深い深い憎しみが男を包み込むが
隣にいた高校生くらいの見た目の男は
怯むことなく顔色ひとつ変えずに話しかける
呪いの身なのに自分のことを人間と主張する言動に笑いころげているのだ。
「それってさぁ…ただの妬みじゃん」
「才能が……その人の全てを決めるわけじゃないのに」
「クソだせーですね、ご主人様」
人間の男に続いて
吐き捨てるようにダサいダサいと言いまくる女
ピクリと呪いの男がこちらを向いても
人間の男同様、顔色ひとつ変えない
それどころか面倒くさそうに窓越しに見えるAを見つめている。
「君たちに一体何がわかるんだ」
「同情されるのも胸糞悪いけど」
「そういうのも……虫唾が走るね」
「どうする?ここで殺す?先に君たちを」
笑い転げていたり
面倒くさそうにしていた2人の顔つきが変わった
静かな怒りに満ちた顔つきに。
「は?逆だろ?お前が変なことすれば俺たちが殺すんだよバーカゴミが」
「そうよ、夏油様にもそう言われてる」
「…………情があれば殺せって」
冷ややかな女の声がそう告げると
3人の目に映る光景がスローモーションのように見えた
酷く冷たい、それぞれの怒りに満ちた空気感
それでも周りの人間たちはそれに気がつくことなく去っていく。
「夏油くんこそ情があるんじゃない?」
「彼、五条悟の同級生でしょ?」
「あー、ごめん今は操られてるんだっけか」
「やられ方は違うけど……僕みたいで面白い」
その瞬間店内にいたAが
ちらりとこちらに目線を向けた
呪いの男は何かを隠すように、逃げるように
目深に被っていたフードをまた更に深く被り直しマフラーを上にあげ口元を隠した
なにか都合の悪いことがこの2人の間にあるのだろうか。
「あるわけないだろそんなものあんな人間に」
「逆に僕は憎んでいるのさ」
「殺したくてたまらないけど」
「今日は君たちに遊んでもらうよ、どうせ捕まえられないだろうし」
くわえていたキャンディの棒を
ピンッと指で飛ばし窓ガラスにぶつける
その顔は─
「面白いもの見せてね」
楽しそうに笑っていた。

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まー(プロフ) - 亜紀さん» コメントありがとうございます…!尊敬だなんて恐れ多いです…これからも頑張ります:-) (11月29日 16時) (レス) id: 47d5979f19 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます…!私も小説を書いているのですが、ほんとに尊敬してます!更新頑張ってください! (11月28日 13時) (レス) id: ab4f96d557 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まー | 作成日時:2020年11月24日 19時