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「髪の毛少しでも切るとやっぱり違うなぁ」
美容院での会計を済ませ
伸びをしながらどこか嬉しそうに歩くA
ちなみに会計で使ったお金は五条から半ば無理やり渡されたお小遣い的なものではなく
完全にバイトで稼いだお金
使うのはどこか申し訳ない。
「次、どこ行く?」
「どこか行きたいところある?」
せっかくの自由な時間だ
色んな場所に行って色んなものを見たり食べたり買ったりしたい
とは言ってもどこに行きたい!というものがAには全く持ってないため
ちょっと後ろを歩く狗巻に聞いた。
「さっきは私が付き合ってもらったから」
「今度は私が狗巻くんについていく」
今度"は"と言っているが
美容院まで連れてきてくれたのは狗巻だ
狗巻がいなかったらAは迷子になってきっと笑われ者になっていたことだろう
それはさておき、Aにそう言われた狗巻は立ち止まって何かを考え始めた。
「そういえばお昼ご飯まだだった」
「近くにいいお店あるかなぁ」
パッと見しっかりしてそうなのに割とマイペースなところが目立つ
さっきまで考え事をしてるかと思ったら次の瞬間にはまた違うことを考えて
小さな子供のように表情がころころ変わる
1人の人間として見ても、呪術師として見てもなかなか珍しい。
「あ、ここのお店美味しそう」
「ねぇ狗巻くんこれ見て」
Aが狗巻のことをどう思っているのか
伝えるのは何も難しい話ではない
でもその逆はとても難しいこと
言葉にしたくてもなかなか出来ないもどかしさ
それでも大切な誰かを守るためなら自分の自由を奪う
自由を奪った者と、自由を手に入れた者。
「美味しそうだよね、そこのお店」
狗巻くんについていくって自分で言ったくせしてすぐにそういうことを考える
ちょっと困った"友達"
でも本当に、本当の気持ちは友達なのだろうか
「どう?」
Aの絆創膏だらけの手からそっとスマホをとる
彼女が誰よりも今、追いつこうと頑張っているのをその手を見なくても知っている。
「……………る」
「へ、」
開いたチャック、見えた口元
優しい眼差しを送っては
くしゃりとその頭を撫でた
"似合ってる"

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まー(プロフ) - 亜紀さん» コメントありがとうございます…!尊敬だなんて恐れ多いです…これからも頑張ります:-) (11月29日 16時) (レス) id: 47d5979f19 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます…!私も小説を書いているのですが、ほんとに尊敬してます!更新頑張ってください! (11月28日 13時) (レス) id: ab4f96d557 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まー | 作成日時:2020年11月24日 19時