幸せ家族計画！【降谷零】

24 零side ページ26

彼女の部屋を出た後、何をやってるんだと後悔した。



本当のことを言えばよかったのに…



馬鹿みたいだ。



本当のことを言っておけば、再会を果たして、感動的なものになっていたかもしれないのに。



そんなこと思ったって、後の祭り。



抱き心地も、ぬくもりも、昔と変わらなかった。



急なことにびくっとするのも、恥ずかしくなって顔を赤らめるのも。



俺だと気づいて、手を回して、抱きしめ返してくれないかという淡い想いは、叶わなかった。



俺の中の '' 僕 '' は、彼女の思い出にはいない人物で、零ではない。



1人でとぼとぼと歩きながら、これからのことを考えた。



このまま、安室透として彼女と関わっていくか。



降谷零として再会し、彼らの父親になるか。



本当なら、迷わず彼らの父親になることを選ぶに決まってる。



なのに、危険な目に合わせてしまうかもしれないと思うと、選びにくい。



とても難しい選択だ。



穂花、こんな俺を受け入れてくれるか？



返事はあるわけない、あるのは罪悪感だけ。



降谷零として会ったら、きっと俺はきっと憤慨され、憎まれるに決まってる。



こんな男が父親なのも、子供達だってきっと嫌だろう。



あんな無邪気な子供達を、危険に晒したくない。



さぁ、降谷さんはどちらの選択をするのだろうか。

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